君しかいらない。２ ページ32
「紫耀ー。撮影の予定が変わって、明日とあさって仕事キャンセルになったから」
マネージャーさんにそう言われたのが、お昼過ぎ。
「他の仕事ないんですか？」
「ないねー。その撮影のために空けといたからさ。ゆっくり休んだら？２日もオフ取れるなんて、上京して初めてでしょ？」
「はい！」
心の中でガッツポーズした。
半日や１日オフならあったけど、、初めての連休だ！
なにをしようか想像して、真っ先に浮かんだのが、Aの笑顔だった。
仕事が終わり、すぐに新幹線に飛び乗る。
Aに連絡しようか迷ったけど、
驚かせたいから何も言わずに行くことにした。
住所は前に聞いたから知ってる。
地図アプリに入力したら、すぐに場所がわかった。
家に近づくに連れて、期待感が高まる。
３年ぶりに会える。
この３年間、Aに会いたくて仕方なかった。
けれど、次々に舞い込んでくる仕事をこなすことでいっぱいいっぱいで、オフはたまに仕事仲間と遊びに行く程度で、基本的に、休むことで消化された。
A、どんな顔するだろう。
新幹線の中で、Aに送ってもらった写メを眺める。
Aは自覚してないけれど、かなり可愛い。
初めて出会ったときから可愛いと思っていたし、中学校で再会したときは、さらに可愛く成長した姿に心を一瞬で奪われた。
高校生になってもその可愛らしさは変わらず、会うたびに綺麗になっていくAに、彼氏ができやしないか心配でたまらず、頻繁に会いに行っていたのは内緒の話。
正直言って、この３年間不安だった。
Aを信じていたものの、可愛くて性格も明るくて優しいAを周りの男が放っておくわけがない。
って、芸能人の俺が自信失うとか…。
Aは簡単に、俺を普通の男にしてしまう。
本人は気付いてないと思うけど。
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作者名：ピナパル
| 作成日時：2017年4月18日 23時
