１８歳の君。２ ページ25
聞き慣れた声がして、店のテレビを見ると、
紫耀くんがうつっていた。
そっか、新しいドラマ出るって言ってたなぁ。
３年前に東京へ行った紫耀くん。
上京してすぐに出演した連ドラの演技が話題となり、
「主人公の過去を演じたのは誰！？」
と話題騒然。
ドラマも高視聴率を記録し、それから、映画やドラマにひっぱりだこ。
他にもアイドルとしての歌やダンスの仕事に、いくつもの雑誌の表紙を飾ったり、バラエティにも出たりで、ものすごく忙しいらしい。
まとまった休みがないらしくて、この３年間、会えずにいた。
「あ…」
見ていると、テレビの中の紫耀くんが、可愛い彼女役の女の子とキスをしていた。
もう何度も見てきた光景。慣れてはいるものの、毎回胸がキュンと苦しくなる。
「めっちゃ見てるね」
岸先輩の声がして、慌ててテレビから目線を戻す。
「平野紫耀、好きなの？」
「え、えぇまぁ。いま１番人気ありますよね！」
キスまでしてる仲だなんて、口が裂けても言えない。。
「まぁーなー。イケメンだよなぁー。けど、俺はそんなに好きじゃないや」
テレビを見ながら、興味なさそうにビールを飲む岸先輩。
「え？なんでですか？」
「うーん、やる気なさそうじゃん。俺が上司だったら、キレてるレベル」
確かに、最近の紫耀くんは様子が変だ。
雑誌の写真も、笑ってはいるけど、目に生気が感じられない。テレビのバラエティでも、みんなが笑ってる中で、ひとり違う方向を向いていたりして、つまらなさそうにしているのが丸わかりだった。
上京してすぐの頃は、新しい仕事が決まるたびに、すごく嬉しそうに電話してきたのに、
最近は電話をしても、いつも眠たそうにしているから、申し訳なくて長話しないようにしてるし…。
「まだ１８歳ですからね。そういう時期もあるんじゃないですか？」
私がそう言うと、岸先輩はジョッキをガンッと机に置いた。
「１８だろうが、金もらって働いてるんだから、プロ！」
口をへの字に曲げて主張する先輩。
その言葉、、私も入社してすぐに岸先輩に言われたなぁ。
先輩の座右の銘なのかしら？
「なに笑ってんだよ？」
先輩が頭をワシワシと撫でてくる。
「ちょっ！やめてくださいって！笑ってました？」
「おー！バカにするようにな！」
「バカにしてませんよ！おバカだなぁーとは思ってますけど！」
「なんだとー！」
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作者名：ピナパル
| 作成日時：2017年4月18日 23時
