１５歳の君。１０ ページ22
１番のファンでいて欲しいって言われたから、心に蓋をしてきた。
紫耀くんに言われたから…
「あはははは！」
突然、私の言った言葉に、紫耀くんが笑い出した。
な、なに？おかしい？
「俺、自分で自分のクビ締めてたんだ」
そう言うと、おもむろに私を抱きしめた。
また、あの甘い香り…。
頭の上から降ってくる紫耀くんの声。
「ファンじゃなければ、俺のこと、とっくの昔に好きになってくれてた？」
なってたよ。
保健室で私を見たときも、高熱で踊っていたときも、屋上で耳元で囁かれたときも、夜道で歩いてたときも、二人乗りしたときも、キスされたときも、今も、、
「何度も好きになりかけてたよ」
そう言うと、ギュッと抱きしめられていた腕に力がこもるのが分かった。
「俺…すげーわがままなこと言っていい？」
耳に響く紫耀くんのハスキーで甘い声。
「なに？」
「Aに、１番のファンでいて欲しいし、俺の事、ひとりの男としてみて欲しい」
「でも…」
そんなこと、許されるの？
他にも、紫耀くんを好きな女の子はたくさんいて、きっとこれから星の数ほど増えていく。
その子たちが、私のことを知ったら、、、
「俺、努力する。Aのことも、ファンのことも、失望させないように、頑張るから、、、
俺のことを好きになってもらえませんか？」
紫耀くんが、私を見つめていた。
初めて出会ったときは、私より頭ひとつ分以上小さい男の子だったのに、、
今では、私が見上げないといけなくなった。
誰よりも素敵な男の子。ううん、男の人。
ずっと、惹かれていたの。
どこにいても、なにも変わらないあなたの素顔に。
「本当に、私でいいの？」
紫耀くんの頬に触れると、私の手に紫耀くんの手が重ねられる。頬も手のひらも温かい。
「Aじゃなきゃ、嫌なんだよ」
そう言うと、紫耀くんがキスをしてきた。
何度も何度も。ぎこちないけれど、深く長い、大人のキス。
キスをされながら、紫耀くんへの想いが膨らんでいくのがわかる。
止まらない。
紫耀くんを好きになったときに、心に決めたこと。
あなたは、努力すると言ってくれた。
もうこれ以上ないくらい努力してるのに。
だから、私も、あなた以上に努力する。
そしてあなたを信じる。
あなたが私を要らない、というまで、私は、あなたのそばにいる。
そう決めた。
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作者名：ピナパル
| 作成日時：2017年4月18日 23時
