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21歳の君。30 ページ8

楽しい時間はあっという間に過ぎていく。








昼も夜も気にせずに、紫耀くんと過ごした甘い甘い時間の終わりが近付いていた。






5日目の夕方、

紫耀くんに後ろから抱きしめられながら砂浜に座る。


ふたりの間に会話はない。


この僅かな時間が少しでも長く続くように、



触れ合う肌から伝わる体温を分け合うかのように紫耀くんに体を預けて、


沈みゆく夕日を眺めていた。






「明日の今頃は、日本だね」


沈黙を破ったのは、紫耀くん。


「…そうだね」


「……帰りたくないなぁ」


ぎゅーとされるその力から伝わってくる感情に、急に寂しさがこみ上げてきた。


「私も」




ふー、っと、耳に紫耀くんの吐息がかかった。


ため息?





「俺さ…Aに言わなきゃいけないことがある。。」



言わなきゃいけないこと…?なに…?


突然、心の中に不安がうずまく。



「…新しい映画が決まったんだ…」


新しい映画…?
あ、あれか…。
言われてから思い出すほど、頭の中からすっかり消えてしまっていた。


「…映画さ…かなり、露骨なラブシーンがあるんだよね…」


「うん……」


「演技って、わかってるとは思うんだけど、、A、、傷つくかなって思って、、」


また力が込められた腕を、そっと握る。



「大丈夫だよ」



いまなら、すべてを信じられる。


嘘じゃなく、自分に言い聞かせてるわけでもない、心ならそう思った。




「紫耀くんがやりたいことなら、応援する」




すると、腕の力から解放されて、紫耀くんの方へ向かされた。



「本当に?本当の本当に?」


砂にまみれた手で、私の手を握って、不安そうに何度も聞いてくる。





「本当だよ。本当に大丈夫。」



そう言うと、紫耀くんは膝に手を置いて、大きく息を吐いた。



「よかった…。俺…ずっとなんて説明しようかと思ってて……」



心から安心したように見える紫耀くん。







あぁ…そうか…


…同じだったんだ……。


私と同じように、不安だったんだ。


私だけじゃなかったんだ。









いきなり、紫耀くんが、私の前に正座した。



どうしたのかな?






「ねぇ、A、ちょっと目、閉じて」



言われたまま、目を閉じると、





左手が持ち上げられて、薬指に触れられる。





…え?これ…









「目、開けて」







目を開けると、左手の薬指に、







夕日でオレンジ色に染められた指輪が光っていた。

約束。→←21歳の君。29



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ピナパル(プロフ) - くりんさん» コメントありがとうございます!頑張ります! (2017年6月24日 0時) (レス) id: 13c9717e47 (このIDを非表示/違反報告)
くりん(プロフ) - とても、続きが楽しみです。更新頑張ってください (2017年6月23日 22時) (レス) id: 377230d688 (このIDを非表示/違反報告)
くりん(プロフ) - とても、続きが楽しみです。更新頑張ってください (2017年6月23日 22時) (レス) id: 377230d688 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピナパル | 作成日時:2017年5月22日 10時

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