ＦｉｒｓｔＬｏｖｅ３*･゜ﾟ･*:.｡..｡.:*･ (ページ48)

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誕生ーRen ページ48

初夏。

数日前から、落ち着かない。

四六時中、スマホを気にしていた。

いつや、いつなんや…。

待ちに待った知らせが来たのは、就活の面接後の控え室。

「きたぁ！！！」

スマホを見て、思わず大声をあげた俺に向けられる、面接先の社員や他の学生の視線も気にせずに、控え室を飛び出した。

スーツのまま病院に着くと、急いでAさんの元へ向かう。

その途中、ガラス一枚隔てた壁の向こう側に、小さなベッドが並べられているのが目に入った。

もしかして…新生児室？

立ち止まって見てみると、ベッドには、産まれたばかりの赤ちゃんが何人か寝かせられていて、その中に、

安永Aさんベビー女の子

という紙が貼られたベッドに赤ちゃんが眠っていた。

この子が………。

無事に産まれたんや…

あの、お腹越しに俺の手を蹴ってきた子が、、産まれてきたんや…。

眠りながらモゾモゾ動いてる。

ちっちゃいしわしわな顔に、薄い髪の毛。

ビジュアルは完全におサルさん。

せやのに、、めっっっっちゃ可愛い。

可愛すぎる。なんやこの生き物は。

ガラスに手を当ててガン見してたら、

「お見舞いの方ですか？」

看護師さんに怪しげな目で見られてしまった。

「永瀬くん……」

看護師さんに教えられて行った病室では、Aさんが、ベッドに寝ていた。

俺の姿を見て、力なく微笑む様子に、思わず、感極まる。

たった１人で、、頑張ったんやな……。

「おめでとう！赤ちゃん見たよ！おサルさんみたいやったなぁ！」

こみ上げてきたものを隠すために、わざと明るく振る舞った。

「私も思った。生まれてすぐは、もっとシワシワでほんとうにおサルさんだったよ」

そう話す、Aさんの笑顔からは、幸せが溢れ出ていた。

その顔を見て、はっきりとわかった。

たとえ、他の男のことを愛していても、

たとえ、他の男の子供を産んだとしても、

.

俺は、この人を愛している。

.

「あの子の名前…決めたん？」

「うん。…萌ゆる花で、萌々花。
ももちゃん」

「萌々花…ももか…」

ももか。

なんて可愛い響きの名前なんやろ。

ほっぺたぷっくりしてたあの子にぴったりや。

.

俺が守ってみせる。

萌々花のことも、Aさんのことも。