ＦｉｒｓｔＬｏｖｅ３*･゜ﾟ･*:.｡..｡.:*･ (ページ43)

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＊永瀬くん＊ページ43

永瀬くんは、腕の力を抜いて、やっと私を解放してくれた。

「そばにいるって…」

永瀬くんを見上げると、口角の上がった優しい笑顔で、私を見つめていた。

「言葉通りやで。彼氏も親もおらんなら、俺が安永さんのそばにおるよ」

嘘……。なんで…。

「平気なの…？自分の…好きな人が、他人の子供産むんだよ？」

そう言うと、永瀬くんの顔が一瞬だけゆがんだけど、すぐ優しい笑顔に戻る。

「産みたいんやろ？それが、安永さんの幸せなんやろ？
せやったら、俺は…それを助けたい」

「どうして……」

瞳に映る永瀬くんの顔がボヤけていく。

「それが、俺の責任やと思うから」

あくまでも笑顔のまま言う永瀬くん。

「責任？永瀬くんになんの責任があるっていうの？ただのバイト仲間じゃない。私のこと好きだからって……永瀬くんの…人生まで…」

こみ上げるものに負けて、言葉が出てこない。

まだ大学生の永瀬くん。

あなたが背負うには、私は重すぎるよ。

「ただのバイト仲間じゃない。大事な人や」

永瀬くんが私の肩をつかんだ。

「もう、ええやん。強がらずに俺を頼ってよ。

ひとりで頑張らんでよ。

なんで彼氏に言えへんかはもう聞かへんから」

私の目を見つめる瞳が潤んでる。

「言うたやろ？もう、一人で苦しまんで欲しいて。安永さんには、笑ってて欲しいねん」

真剣な顔で私を見る永瀬くんに、ついに心が折れた。

……もう、ダメだ。

この、まっすぐな言葉から、瞳から、逃げれない。

「…助けてくれるの……？」

涙も、本心も、堪えきれなくなった。

私は、卑怯だ。最低だ。

……本当は、ひとりで産まれてくる子を守る自信なんてなかった。

親の愛を知らない私が、どう子供に愛を注いだらいいか、わからなかった。

もし愛せなかったら、ママみたいに我が子を捨ててしまいたくなったらと思うと、不安に押しつぶされそうだった。

それでも、、、産みたかったから、

会いたかったから、

無理やり、心に蓋をして、強がっていたの。

だけど、蓋は取り払われてしまった。

無理やり抑え込まれていた本心は、滝のように流れ出て、もう止めることはできない。

「おん。助けるよ」

少し高い永瀬くんの声が、心に沁みていく。

「永瀬くんは…それでいいの…？」

永瀬くんは、小さくうなづくと、細長い指で、そっと、ボロボロと頬を流れる私の涙を拭った。

「それでええんよ、Aさん」