突然ーRen ページ36
聞く。今日こそは聞く。絶対に聞く。
安永さんが、休憩室で倒れそうになってから2週間。
テスト期間があったから、あの日以来会えてなかった。
テストの結果は…ボロボロ。
安永さんが気になりすぎて、勉強に身が入らなかった。
こんなんじゃあかん。吹っ切らな。
迷いに迷った末に、とうとう聞く決心をした。
「なんか、あったんですか?」
たったの一言や。一言聞いてみるだけ。
教えてもらえへんかもしれん。けど、勇気を出して聞くんや、俺!
出勤すると、休憩室にたくさんのお菓子が置いてある。
大量やなぁ。なんやろこれ?
バックヤードにいた店長に聞いてみる。
「店長、あのお菓子なんすか?」
「あ!あーあれねー…
安永さん、辞めたから、その餞別やて」
……は?
思考が停止する。
「え…?なんも聞いてへんのですけど…」
「うーん、どーにもならへん事情があるからやめたいって言われてねー。誰にも言わんでくださいって言われてたんよ」
そう言うと、店長は俺を1人バックヤードに残し出て行った。
…おかしい。
安永さんの性格やったら、絶対みんなに挨拶して回って、後の人が困らんようにするやろ…。
なんでこんなに突然辞めたんや…。
やっぱり、なんかあったんや…。
そう思ったら、いてもたってもいられなくなって、安永さんに電話をしていた。
何度かけても出ない。
なんでや?
戻ってきた店長に詰め寄る。
「店長!安永さんの住所教えてください!!」
「は!?なんで?」
「安永さんがこんなに突然辞めるなんておかしいですよ!絶対なんかあったんです!
せやから俺、会って話したいんです!」
「そんなこと言われても、、個人情報やから、、、」
「お願いします!!会いたいんです!!」
人目も気にせず、大声を出して頭を下げた。
このまま会わずにいたら、永遠に会えなくなってしまう気がして、必死やった。
「あのさ、もし、安永さんがなんかあって辞めたとして、その理由聞いて、どうすんの?」
頭の上から聞こえた、店長の冷静な声。
「どうする…って?」
「責任とれんの?」
「……取ります」
顔を上げて、じっと、店長の目を見つめた。
すると、
店長は息をついて、一冊のファイルから紙を1枚出すと目の前の机に置いた。
「若いってええな」
そう言って、ニヤッとすると、
「売り場直してくるわー」
バックヤードから出て行った。
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ピナパル(プロフ) - くりんさん» コメントありがとうございます!頑張ります! (2017年6月24日 0時) (レス) id: 13c9717e47 (このIDを非表示/違反報告)
くりん(プロフ) - とても、続きが楽しみです。更新頑張ってください (2017年6月23日 22時) (レス) id: 377230d688 (このIDを非表示/違反報告)
くりん(プロフ) - とても、続きが楽しみです。更新頑張ってください (2017年6月23日 22時) (レス) id: 377230d688 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピナパル | 作成日時:2017年5月22日 10時