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初めて見た顔ー高梨 ページ23

部屋から出てきた紫耀は、尋常じゃないくらい青ざめていた。



「紫耀!?どうしたの!?」


声をかけても、反応がない。


「紫耀!!!」


肩を揺らすと、やっと気づいたらしく、私の顔を見る。


その瞳は、大きく揺れていた。



「しっかりして?大丈夫?」



「……共演できないって……」



呆然としたままつぶやく紫耀。



「俺が…彼女と別れれば…共演するって……」


「そんな…」



思わず絶句した。

まさか、朝比奈葉子がそんな交換条件を出してくるだなんて…。

なんのために…。


「けど…俺…彼女がいなくなったら……」


そう言いかけて、紫耀はまた呆然と立ち尽くしてしまった。

その顔は、苦悩に満ちてる。


初めて見た顔。


そんなに…彼女のことが大事なの…?


「紫耀、すぐに答えを出す必要はないから、今日はとりあえず休みましょう。ね?」







紫耀をホテルに送ると、事務所へ向かい社長に報告した。


「紫耀は?」


「ホテルへ戻しました。…とても、普通に会話できる状況ではなかったので…」


「そう…朝比奈葉子はなんて?」


「それが…共演はできない、と…。ただし、紫耀が彼女と別れるなら共演する、と言っているみたいで…」


「……朝比奈らしいわ」


「え?」


「いつもそう。共演者に本気で入れ込んで…。

紫耀のことも、共演してるうちは自分のものにしたくなったんでしょう」


「じゃあ…」



「今だけのことよ」



社長は、厳しい顔でつぶやいた。









それから1週間。


普通に仕事をこなしている紫耀だけれど、いつもと明らかに様子が違う。


これまでは、どんなに朝が早くても、フワフワとした笑顔で、


「おはようございまーす」


と、言ってきたのに、


まず、朝迎えに行っても準備が出来ていない。


「おはようございます…」


挨拶も固い表情のまま。


毎晩ホテルを抜け出して出かけているようだし…。



彼女とのことをどうするのか、決められていないようだった。







彼女の情報は、、手元にある。






紫耀を好きな1人の人間としては、、朝比奈葉子の一時の感情のせいで、長く想いあってきた2人を別れさせたくない。



だけど、多くのタレントを預かる事務所のスタッフとしては………。

紫耀1人のために、他のタレントにまで迷惑をかけるわけにいかない。







どうするべきか、、。









思い悩んだ末に、紫耀のマンションへ向かった。

21歳の君。37→←呼び出し3



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ピナパル(プロフ) - くりんさん» コメントありがとうございます!頑張ります! (2017年6月24日 0時) (レス) id: 13c9717e47 (このIDを非表示/違反報告)
くりん(プロフ) - とても、続きが楽しみです。更新頑張ってください (2017年6月23日 22時) (レス) id: 377230d688 (このIDを非表示/違反報告)
くりん(プロフ) - とても、続きが楽しみです。更新頑張ってください (2017年6月23日 22時) (レス) id: 377230d688 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピナパル | 作成日時:2017年5月22日 10時

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