ＦｉｒｓｔＬｏｖｅ３*･゜ﾟ･*:.｡..｡.:*･ (ページ41)

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２１歳の君。４８ページ41

細いのに、筋肉質なその腕を離そうともがく。

「離し…「なんで嘘つくん？」

まるで、私を絶対に逃さないかのように、抱きしめる力が強くなった。

「そんな、やつれた顔で、泣き腫らした目で、痩せた体で大丈夫なんて言われても、説得力ゼロや。

こないだ引っ越したばっかりやのに、もう引っ越すなんておかしいやん。

彼氏はどうしたん？なんで、安永さんにそんな顔させるん？

俺から見たら…いつも１人で全部抱え込もうとしてるようにしか見えへんよ…」

回された腕に、ぎゅうっとされながら聞こえる苦しそうな声。

そうだよ…私は嘘つきなの。

自分の本心を隠して、心に蓋をするのは得意。

小さな頃から、身に染み付いてた。

それでも、紫耀くんにだけは自分の弱さを少しだけ、見せられたの。

……けれど、紫耀くんにはもう会えない。

「永瀬くん…やめて…」

お願い。もうやめて。離して。どこかへ行って。

永瀬くんのまっすぐすぎる言葉は、今の私の心の隙間に簡単に入り込んで、固く閉じたはずの心の蓋を、簡単に外してしまう気がするの。

「嫌や。

俺…安永さんが好きや。

勝手に押しかけて、最低なことしてんの分かってる。

彼氏がおるのも分かってる。

俺のこと、男としてないのも分かってる。

でもそれでも！

好きな人が、苦しそうな顔してんの見るのはもう嫌や。

……なぁ…何があったん？

何が、安永さんをそんな顔させるん？」

苦しそうな声が、優しい声に変わった。

「ひとりで苦しまんといて…」

胸に押し当てられた耳に、激しい鼓動が響く。

永瀬くんの胸の音。

花火大会のときと同じ。

あのときは、この腕を振り払う力があった。

だけど、、今は、縋り付きそうになる。

必死で抑えていた心の蓋が、外れそうになる。

けど、そんなの卑怯だ。

自分で紫耀くんから離れると決めたのに、今度は永瀬くんに頼るなんて、卑怯だ。

未婚の母になること、

もしも話したら、好きでいること、諦めてくれるよね。まだ大学生の永瀬くんには、背負いきれないもの。

永瀬くんには、私なんかより、もっと他に想いに応えてくれる人がいる。愛してくれる人がいるよ。

永瀬くんの服の袖を、ギュッと握った。

「安永さん…？」

「永瀬くん……私、妊娠してるの…」

お願いだから、諦めて…

心の蓋が外れてしまう前に。