ＦｉｒｓｔＬｏｖｅ３*･゜ﾟ･*:.｡..｡.:*･ (ページ26)

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２１歳の君。３８ページ26

もっと、怒られて、責められると思ってたのに…

目の前にいる高梨さんの、私を見る目は、とても優しい。

「あの……紫耀くんは、、どうなるんでしょうか…？」

勇気を出して、聞いてみると、高梨さんの柔らかかった顔つきが途端に厳しくなり、曇った。

「……。正直、マズイことになってるの」

「マズイこと？」

「朝比奈葉子が、、紫耀とは共演できないと言い出したのよ」

小さなため息をため息をつく高梨さん。

「………そんな……」

「…ひとつだけ、条件を飲めば、共演を許してもいいと言ってるの」

「なんですか？」

「……あなたと紫耀が別れること」

凍りつくように全身が硬直した。

…別れ…る？

「もし、この映画を降板するようなことになれば、紫耀のイメージに大きな傷がつく。スキャンダルが原因だとさらに傷は大きくなる。

スポンサーも撤退して、大きな損害になるわ。
下手をしたら損害賠償を請求されることになるかもしれない。

そんなことをされたら、もう、これまでと同じように芸能界で生きていくことができなくなってしまう。」

…損害賠償…。芸能界で生きていけない…。

高梨さんの言葉に、背筋が冷たくなり、喉元が苦しくなっていく。

私に指輪を買ったせいで、紫耀くんの人生が変わってしまう…。

これまで、紫耀くんが、何があっても涙ひとつ見せずに、ひたすら努力してきたすべてが壊れてしまう…

だったら、、私たちは別れるべきなの？

違う。…紫耀くんのためには…別れないといけないんだ…。

目の前が、真っ暗になりそうだった。

何も言葉が出てこなくて、ただただ俯いてカーペットを見つめるしかできない私に、高梨さんが話を続けようとする。

何を言われるかは想像がついたから、覚悟を決めて唇を噛み締めた。

.

「けど、私は、、あなたたちが別れることは望まない。

紫耀が紫耀でいられたのは、きっとあなたの存在が大きかったからだと思うから。

だから……今だけ、せめて映画が公開されるまで…紫耀と距離を置いてもらえないかしら？」

「え…？」

思いもよらない言葉。

.

顔を上げて高梨さんを見ると、厳しかった顔つきが、また柔らかくなって、優しい目で私を見つめていた。

別れなくても…いいの…？