【終わりのセラフ】孤独なお姫様３

98. ページ5

「A」


新宿から戻った数日後、ミカはAを見つけ、声をかけた。


『あ、ミカ』

「…少し話がしたいんだ、ちょっと来て」






2人は場所を変え、近くの講堂の椅子へと座る。


『話っていうのはこの前のこと？』


座ってすぐ、Aはミカを見て聞いた。


「…うん。なんでこっちに戻ってきたの？あの場で僕の話は忘れてとは言ったけど、やっぱり気になって」


『…そうだね。私もまさかこうなるとは思ってなかったんだけど…』


笑いながら答える彼女に、ミカは真剣な眼差しを向ける。


「そもそもAはいつからこの都市にいたの？」


『それについて話すと長くなるんだけど…聞いてくれる？』


「うん」


そして彼女は自身の過去から今に至るまでの全てを話し始めた。






「そんなことが…じゃあ僕がこの都市に来た少し後にAは攫われてきたんだね」


『ミカもここに連れ去られたんだっけ。あ、そっか、私が眠っている間に子どもはみんなここに攫われたんだもんね…』


「Aが攫われてきた理由は分かった。でも、結局ここに戻ってきた理由は何？」


少しの沈黙の後、Aは口を開いた。



『私、気付いたんだよね』

99.→←97.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す