透明造花 [Koki.K] (ページ9)

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とにかく、変わりたかった。

皇輝が全てで、他の人間関係からは浮いていた私が『普通』になれる方法なんて、形から入るしかなかった。

きっと今の私を見ても、皇輝は私だと気づいてくれない。それでいい。

皇輝が完全に私のことを忘れ去れば、私も皇輝のことを忘れられると信じていた。

もう、あの頃の私達はどこにもいないのに。

あの頃から姿を変えて、あの頃の破片を少しでも消してしまうことがその証明になる。

思い出が全て模造品ならいいのに。

本物そっくりの偽物だったら、まだ少しは救われたのかもしれない。

皇輝が私を想って流した涙とか、愛してるの言葉とか、皇輝を好きだったこの気持ちとか。

全部レプリカだったなら、なんの躊躇もなくゴミ箱に投げ捨てることが出来るのに。

それが出来ないのは、残念ながら今も私が皇輝のことを未練がましく好きだからだ。

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