透明造花 [Koki.K] (ページ44)

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ぼんやりと覚醒しない意識のまま制服に着替え、家を出た。

外はちらちらと雪が降っていた。

窓の外を見るのを忘れていたし、天気予報なんて初めから見ていない。雪が降るなんて分かっていたのなら、初めから家の外に出たりなんかしなかったのに。

マフラーを部屋に置き去りにしたことを後悔したけれど、1度履いてしまったローファーを脱ぐ気にもなれなくて、両手を固いポケットに捩じ込んで門をくぐる。

下を向いたまま歩き出そうとすると、薄い障壁がそれを阻んだ。

「A」

きっちり巻かれたマフラーに薄く雪が降り積もっている。赤くなった鼻先と耳。

もしかして私を待ってた？

「なんで、」
「昨日電話出なかったから」

さみぃ、って
両方のポケットからカイロを取りだし自分の頬に当てる。
そしてその片方を私の頬に押しつけた。

「行こう」

まるで昔のように、当たり前にそう言った皇輝に頷いて私はその背中を追い掛けた。

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