透明造花 [Koki.K] (ページ30)

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6限の授業を、私はサボった。

早退届けを書いて担任に印を貰い…なんて早退をするまでの勇気はなかったから、帰りのHRまで保健室で時間を潰そうって、安易な考え。

1人になれる場所なら何処でもよくて、6限はいつも先生が不在のこの場所なら孤独に浸れるって、そう思って来たのに。

「なんで光輝も保健室なんかにいるの？」

2番目に、会いたくなかった人。それとも、本当は会いたかったかもしれない人。

「キミは僕と会う時いつも泣いてるね」
「……っ」
「A。」

柔らかな指の腹で涙を掬い上げられ、思わず肩を窄める。触れられた頬が熱く、骨張った指先から電流が流れたかのように、痺れた。

「そんなにアイツのことが好き？」
「…え？」
「そんなに、“コウキ”のことが好きなの？」

私を見つめる目が熱かった。
真夏の道端に落としたアイスみたいに、ドロっと溶けてしまいそうになる。

底知れぬ深闇を孕んだ瞳が私を捉えて離さなくて、逃げられないぞと言われている様だった。

その瞳に、今の私はどんな風に映っている？

「光輝？ちょっと、言ってる意味が…」
「好き」

「皇輝の代わりでいいから、俺を見て」

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