透明造花 [Koki.K] (ページ14)

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あの日と同じみたいだった。

皇輝から一方的に逃げ出し、皇輝も私を追っては来ない。

雨は相変わらず降り続き、制服のスカートを群青に染めた。最初から濡れて帰るつもりだったから手元に鞄はなくて、1時間前の自分の判断に感謝した。

あの日と唯一違うことと言えば、私はもう泣いていないということだけだった。

あの猫はいなくなったんじゃない、死んだんだ。

2匹がいなくなって泣きじゃくる私を慰めようと皇輝は必死で「誰かに拾ってもらったんだ」と諭した。

そんなわけない。ミルクもあの子たちがお気に入りの毛布もそのままで、ダンボールの城は住民だけを失くしてただのゴミになっていた。

きっと野生の鳶か何かに囚われてしまったに違いない。このままずっと私の元にいれば温かい場所で眠って幸せになれたはずなのに。

あの仔猫がいなくなった日から私は塞ぎ込みがちになり、皇輝と目を合わせる回数が減ったのだった。

ノスタルジックな気分だった。

感傷に浸って馬鹿みたいだけど、浸るものがないよりマシだ。

私は半年前と同じようにあの公園を訪れ、同じ遊具の下に隠れた。

もう既にびしょ濡れなのに隠れてもきっと意味なんてないけれど。

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