xとy【緑】season1

story 47 ページ47

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『何で？』


「何か…自分でも知らない私が阿部の前だと出ちゃうっていうか…」








下を向いていた目線を一瞬、阿部へ向ける



すると手で口を抑えて驚いた顔をした阿部と目が合った









『…何それ、嬉しいこと言ってくれるね。』



「嬉しい…？」



『俺に心開いてくれてるってことでしょ？』









そういうことだったのか



私の不思議な感情は



友達との間に生まれる感情だったのか






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『Aさん、俺のこと好き？』









ビクッと音が出るくらい心臓が跳ね上がる




……好き、って何？





好き、なんて




恥ずかしくて阿部の前だと口にも出せない








顔に熱が集まる感じがする


実際、顔にも出ているのだろうか









「…わかんない、


けど、嫌じゃない。」







これが今の自分に分かる精一杯の答え






すると阿部は微笑んで




『好きとかよく分からないけど、


Aさんと居ると楽しい気持ちになるから…』







これが好きってことなのかな、なんて空を見上げて言う横顔を直視する









「…それ、私に聞いてどうするの。」


『ごめん、聞く相手間違えた。』



「…聞ける相手いるの？」


『いるわけないじゃん。』







そう言うと阿部が笑う





今は笑えないけれど







こんなやりとりができる



コイツは私の本当の友達になったのかもしれない









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