xとy【緑】season1

story 38 ページ38

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『…じゃあ俺だけだね。』


「は…？」







『Aさんのこんなところ知ってるのは。』



特別だね、と笑うコイツ






…よくそんな恥ずかしいことを


コイツを全く直視できない








「…ちょ、調子乗らないで。」



『だって嬉しいんだもん。』



ニヤニヤしながら私の顔を覗き込む





「楽しんでるでしょ、性格悪っ…」



『じゃ、お揃いだね。

俺のこんなところ知ってるのはAさんだけだし。』







何これ



これが特別ってやつ…？




意識的に表情筋を締める








コイツ、だいぶあざとい


そこでふと少し前の記憶が蘇った








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高校2年生になってすぐくらいの頃




朝、教室に入るために廊下を歩いていた






「…えぇ！？フラれた？！」


「そうなの…」





女子2人が廊下の端っこで話していた





「だってアベくん〇〇に気ありそうに見えたよ？！」


「〇〇さんって本当に話しやすいよね、って2人きりのところで言われたからいけると思ったのに…」



「何て言ってた？」


「…ごめん、彼女いるんだって…」







少し気になって歩くスピードを遅めたのを覚えている





へぇ…そんな人いるんだ


女たらしかよ






そう思った






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そのアベはコイツのことだと思う



コイツの本当の気持ちは…？






コイツは何がしたいのだろう









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