Fから始まる物語２

77話 ページ30

手術前に喉を使わせない方が良いだろうと
LINEでメッセージを送った。

(『お疲れ様です。オーラルの事
植木さんから聞きました。
喉の調子悪かったんですね』)

拓(「聞いちゃいましたか。
情けないよな、体調管理もできんと
バンドの活動も止めてしまったし、、

何より、手術の影響で前の様に声を出せるか
分からんのやって。
術後に今までの曲が歌えんかもしれん」)

この文章が来て絶句してしまった。
私が想像していた以上に、拓也さんは不安を抱えていたなんて。

しかも、声質が変わるかもしれないなんて、
今まで築いてきたものが壊れてしまうかもしれない。
私だったら耐えられるのだろうか。

拓(「ごめん、急にこんな話重いよな。
瑞輝は俺みたいにならんと
気を付けるんやで〜」)

(『声質が変わってしまう可能性があるって
思ってもみませんでした。
私には想像できない不安抱えてますよね。

でも、もし、声質が変わっても待ってます。
術後も病院行きます。
戻ってきたら私達とライブしてください。
拓也さんは拓也さんです。
ファンもそう思ってると思います。』)

私にはこれしか送れなかった。

拓(「ありがとう。」)

拓也さんからはこの一言のみ送られてきた。

私の言葉はこれでよかったのだろうか。
不安だったが、本心だからこれ以上の言葉は出なかった。

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