想い ページ12
「う、嬉しい…です…。」
私は素直に気持ちを伝えることにした。
「私も…佐久間さんのことが好きです…。」
これまで恋愛なんてしたことがなかった私が好きになった人に好きと言ってもらえたんだから、これがもし許されない判断だとしても、立場の違いがあっても、今は素直に好きと伝えたいと思った。
大「本当に！？」
目が飛び出てしまうのではないかと言うくらい大きく目を見開いた佐久間さん。
頷く私。
大「めっちゃ嬉しい！！」
佐久間さんはそう言って座っていたところから立ち上がって私のところまで。
そして私の椅子をくるっと自分の方に向けて、ぎゅっと強く、でも優しく抱きしめてくれた。
「さ、佐久間さん…ここ、会社です…。」
大「うん、ごめん、でも嬉しくて、抱きしめたくなっちゃった。」
私もそっと佐久間さんの服を掴む。
大「あー、幸せ。」
心の底から、というのが伝わってくる言い方に、私も嬉しくなって、私もですと伝えた。
こんなにもあたたかい気持ちになれるなんて、素直に伝えてよかった。
佐久間さんのことを好きだって気付いた時に、この気持ちには蓋を、いや蓋じゃ足りない、鍵を掛けなければ！なんて思っていた自分に教えてあげたい。
気持ちに鍵なんてかけなくていい。
そんな鍵必要ないよって。
「鍵、いらなかったです。」
大「へ？」
突然私がそう言ったので、佐久間さんはそっと抱きしめる手を緩めて私の顔を覗き込む。
「佐久間さんのこと、好きって思って…どうしよう…って…。隠しておくしかないのかなって思ってたんです。」
大「ふふっ、それで、鍵？」
「はい。鍵かけないと、溢れちゃいそうだったので…。」
大「何それ、ちょー可愛い…。」
そう言いながら右手で私の頭を優しく撫でてくれた。
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作者名：柊李 | 作成日時：2022年10月21日 23時
