戸惑い ページ11
飲み物を届けて、岩本主任にも佐久間さんにもお褒めの言葉をいただいて、会議室を出ようとしたら、岩本主任に呼び止められた。
照「あ、ごめん北山。俺ちょっと忘れ物取りに行ってくるから俺が戻るまで佐久間の話し相手してやってくれる？」
「へ！？」
照「すぐ戻るからさ、よろしくね。」
私が驚いていると岩本主任はさっと立ち上がって会議室を出て行った。
佐久間さんに頑張れよと声をかけて。
何を頑張ることがあるのだろうか、と佐久間さんを見ると、私と同じように少し驚いた表情が見てとれた。
大「ご、ごめんね？Aちゃんも仕事あるのにね。」
「い、いえ…大丈夫です…。」
好きな人と2人きりなんて、緊張しすぎて頭が回らない。
何を話せばいいのかもわからない。
とりあえず岩本主任が座っていたところから一席あけた椅子に座った。
大「あのさ！」
「はい！」
大「Aちゃんって照のこと……。」
「岩本主任ですか？」
大「好き？」
「そうですね、好きというか、とても尊敬しています。」
大「そっか…。」
「はい。」
大「す、好きな人…いる？」
これはなんて答えるのが正解なの？
経験のない私には難問すぎる。
もちろん、あなたです。
なんて言えないし…。
でも嘘をつくのもなんかやだし…。
「…はい。」
私は悩んだ末に一言そう答えた。
大「そっか…。……あー、やっぱまどろっこしいのはキャラじゃないよな…。」
佐久間さんが頭を抱えるようなジェスチャーをしながらそう言う。
大「俺さ、Aちゃんが好き！！」
…………………。
え？
今、佐久間さんなんて…？
大「Aちゃん、好きです。」
何も言えずにいる私に、もう一度好きと伝えてくれた佐久間さん。
体が熱くなる。
顔も熱くなる。
口から心臓が飛び出しそう。
それでも、何か言わなければ…。
佐久間さんは社長で、私はただの一般人。
立場の差がありすぎる…。
でも、その佐久間さんが私を好きと言ってくれた。
こんな私を…。
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作者名：柊李 | 作成日時：2022年10月21日 23時
