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Var. VIII. ページ9

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「平たく言えば……んー」



 人造人間かな。そう言えば彼女は一瞬顔を強ばらせる。


 そりゃあ、今まで人間だと思って話していた相手が「ロボットです」と名乗りはじめて驚かないことがあるか。


 ま、まあ怖いものじゃないからさ、と落ち着かせようとするも、彼女のショックは相当なものらしく。


 ーーー言わなければ良かったのかな。

 そんな後悔が迫り来る。


 「これ以上はあまり触れない方がいいのかな」、「クラシカロイドイコール怖いものという誤解を解きたい」。そんな気持ちが脳で固まり、弾けた瞬間に起こした行動。



「ちょっと来て」



 ここだと皆起こしちゃうからさ。

 僕はソファーから立ち上がりホールを指差し、その方向へ向かう。


 石より固そうな表情のままだったけれど、Aが着いてきてくれたことに安堵した。



















「扉閉めて」



 大きな大きな自動オルガンを目前にして、ちょっとした緊張が走る。けれども、彼女のクラシカロイドへの誤解を解く方法は、僕にはこれくらいしか思いつかない。



「ーーーいくよ」



 Hör mal, meine musik!!



 その言葉と共に、僕は赤い帽子、同色の燕尾服に身を包んでいた。

 そして、自らの手に握られたタクトを振る。



「これは……」



 ホール内になり始めた音楽が、光と一緒に乱反射して僕たちを包み込む。


 小さな夜の音楽に、始めAは顔をより緊張させていたが、次第に頬を緩ませていた。


 ーーー君の願い事を全部、叶える夜を。



「Aが、お家に帰れますように」



 自分でそういったのに、どうしてだかすぐにもどかしい気分に襲われる。





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コトハ(プロフ) - よもぎもち(*´ ∀`)さん» なんとか完走しました笑 楽しみだなんて……、期待を裏切らないよう頑張ります。BLの方も更新頑張ります笑。コメントありがとうごさいました! (2017年12月17日 20時) (レス) id: 0a5b4b59b6 (このIDを非表示/違反報告)
よもぎもち(*´ ∀`) - 完結おめでとうございます。お疲れ様でした! コトハ様の新作楽しみにしております! ベトモツ、シュモツが見たいなぁ(笑) (2017年12月17日 17時) (レス) id: 9873466d22 (このIDを非表示/違反報告)
コトハ(プロフ) - よもぎもち(*´ ∀`)さん» 素晴らしいだなんてありがとうございます! よもぎもちさんの小説は一番のベトモツ補給源です、いつもありがとうございます笑 ベトモツ素晴らしき……笑 (2017年12月17日 13時) (レス) id: 0a5b4b59b6 (このIDを非表示/違反報告)
コトハ(プロフ) - ミリイ(灰崎信者)さん» コメントありがとうございます。私ももつくん依存症です笑 モツくんがベトさんと一緒にいると更に喜びます笑 (2017年12月17日 13時) (レス) id: 0a5b4b59b6 (このIDを非表示/違反報告)
よもぎもち(*´ ∀`) - おお… なんと素晴らしいモツ! コトハさんの小説はやはり素晴らしいですな!私はベトモツ依存です(笑) (2017年12月17日 11時) (レス) id: 9873466d22 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:コトハ | 作成日時:2017年11月15日 20時

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