第2話 ページ5
◇
「失礼しま〜す……」
誰もいない医務室に挨拶をして、私は薬箱が置いてある棚へと向かう。
目当てのものを見つけて手に取ろうとしたその時、後ろで誰かの足音とドアを開ける音が聞こえた。
「あれ……加賀利、さん?こんな時間に何してるんだ?」
猫のような瞳をぱちくりとさせながら入ってきたのは、諸伏だった。
彼もまた私と同じ班になったメンバーの一人であり、たしか降谷の幼馴染だと言っていたはずだ。
「諸伏こそ……私は、陣平が派手に喧嘩してきたから」
「もしかして、
ゼロ?と私が眉を顰めると、諸伏は「ああ、降谷零のことだよ…!」と補足してくれた。
さしずめ彼も、幼馴染の手当という所か。
思った事は二人とも同じのようで、互いに顔を見合わせてふふっと笑う。
「にしても、降谷もよくやるよ……陣平はプロボクサーのお父さんに鍛えてもらったってのに」
「だろ?
彼が"
「ふふっ……君ら、本当に仲良いんだね」
「ああ、加賀利さん達もね」
「……加賀利でいいよ。ね、諸伏?」
ふわりと笑って言えば、彼もぱあっと花が咲いたような笑顔を向けてくれる。
「うん!改めてよろしく……加賀利!」
謎に握手を交わしてから、本来の目的であった薬箱をひとつずつ抱える。
あまりゆっくりしていると夜が明けてしまう、と教官の見回りに注意しながら一緒に寮へと戻った。
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作者名:りもねん | 作成日時:2022年5月28日 14時