第24話 ページ27
◇
私は屋上の縁に座ったまま、陣平に今日私が教官らを呼びに行っている間のことを教えてもらっていた。
あの拳銃の弾はやはり萩がカマをかけて見つけたようで、彼の洞察力には本当に感心させられる。
また、班長と諸伏は陣平が拳銃を組み立てている間ずっと作業員を支え、鬼塚教官の首に掛かった命綱を緩めていたらしい。
あんなにまとまりのなかった私達の班も、今回のような状況になれば協力し合えるんだなと思うと思わず笑みが零れた。
しかも、あの後からなんだかみんなの仲が深まった気がして少し嬉しくも感じていた。
そんなことを考えていると、階段を登ってくる足音が聞こえ、その後すぐに屋上の扉の開く音が聞こえた。
振り返えれば降谷がこちらに向かって歩いて来ていた。
｢……君らは何でそんな所にいるんだ？｣
腕を組んで呆れたような顔をしている降谷がなぜ
｢遅かったじゃねーか｣
どうやら彼らはここで待ち合わせていたようだ。
それなら私は邪魔になるのでは？と思ったが、何も言われないということは私が居ても差し支えないのだろう。
今回の拳銃に関する重大な違反は、鬼塚教官の口添えもあって不問に付すらしい、と降谷は話しながら私達のすぐ側で立ち止まる。
｢誤認逮捕だったらしいね、君のお父さん……｣
｢萩の奴か？｣
｢あ、ごめんそれ私だわ｣
お前かよっ！とむくりと起き上がった陣平に軽く頭を叩かれる。
萩も一緒だったもん、と今ここに居ないもう一人の幼なじみを巻き込めば、オシャベリな奴らめ……と睨まれる。
ごめんね、君らの確執を少しでも取り除きたかったんだ。
わちゃわちゃしとしながら座っていた屋上の縁から降りると、その様子を見て降谷は苦笑していた。
｢誤認逮捕は同情するけどあの場合、ケンカを止めてれば殺人自体起こらなかった可能性が高い……｣
｢だろ？んなこたァわかってんだけどよ……｣
降谷の正論も陣平はちゃんと分かっている。
それでもなお、彼の父の夢を壊したのにシレッとしている警察を許せないのだと陣平は言う。
そんな彼がなぜ警察官を目指したのか降谷が尋ねると、んなの決まってらーな！と陣平はドヤ顔を決めた。
｢ブン殴ってこのモヤモヤを晴らしてぇからだよ……警視庁のトップ、警視総監をな！！｣
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作者名：りもねん | 作成日時：2022年5月28日 14時
