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第22話 ページ25
◇
目の前が真っ赤に染る。
むせ返るような、焦げた匂いと鉄の匂いが混じった煙に巻かれて私はへたり込んでいた。
そんな私の前で横たわっている、ドクドクと鉄の匂いの原因を流し続ける人物に声を掛けても、返事は返って来ない。
「おにい、ちゃん……?」
彼の頬に触れれば、まだ生暖かくてべっとりとしたものが付いて、私は血の気が引いていくのが分かった。
嗚咽が漏れ、酸素の少なくなった空気を吸って咳き込む。
息が、苦しい。
喉が焼けるような感覚と共に、声が掠れて出なくなる。
勢いが増してきた炎の先が私の頬を舐めるように焦がし、煤を残してはまた別の場所を燃やしていった。
やがて呼吸もままならなくなり、視界が白んできて意識が朦朧とする。
私はそのまま意識を手放した────
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作者名:りもねん | 作成日時:2022年5月28日 14時