肆拾陸話 少しでも可能性があるならば ページ47
「思ったんですけど」
見落としがないか２人でまた山を探索している最中、私はふとそう呟く。
「何だ？」と天元さんが目を向けてきた。
「今迄この山に来た隊士は殺されてる訳ですよね」
「証拠はねェけどそうだろうな。全員帰ってきてねェし」
「って事は、今迄の隊士達は鬼と会ってるって事ですよね。彼等が鬼の姿を確認出来たかは別として」
「そうだな」
私が重ねる確認に、何を言い出すのかと天元さんは不思議そうにしながら頷く。それから何かに気付いたように少し赤い目を瞠った。
「なのに俺等がこんなに遭遇出来ねェって事は……」
「鬼が意図的に姿を隠してます。多分、私達……というか、天元さんには敵わないと悟ったから」
気付かれない内にそっと近付いてきて食べる、なんて方法の鬼なら、もうとっくにそうしてる。私達がここに来て５時間は経ってるんだから。
なのに未だにこんなに遭遇出来ないって事は、向こうが私達に会いたくないからしか無いだろう。
「という訳で、恐らく向こうからの接触はありません。私が単独行動をすれば別ですが」
「…………」
天元さんは眉根を寄せていた。まるで何かを考え込んでいるみたいに。
そしてそれはきっと、私が考えているのと同じ方法。
「私が囮になって鬼を誘き出します」
「危険過ぎる」
間髪入れずに返された。
そりゃ、甲の隊士でも敵わない鬼に、戊の私が勝てる確証なんか殆ど無いのは私だって分かってる。
「じゃあ他に方法がありますか」
鬼は柱である天元さんの前には決して姿を現さない。
そして私は、一応１ヶ月で戊になった期待の新人隊士だ。
勝てる確証なんか無い。それでも零じゃない。
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瘉月(プロフ) - ゆずさん» 原作は悲しいこともありますが…それ以上に楽しいこともあるので、楽しみにしています！ (2020年9月14日 21時) (
レス) id: c566db76b6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 瘉月さん» ありがとうございます！ 早く原作に入りたくてウズウズしているので、時間を見つけて更新しようと思います。 (2020年9月14日 19時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
瘉月(プロフ) - 本当に面白いです！毎回見てます。頑張ってくださいね！ (2020年9月14日 17時) (レス) id: c566db76b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆず | 作成日時：2020年8月8日 21時
