丗捌話 隊服 ページ39
街に行って目当ての物を買えた私は、ルンルンで屋敷に戻った。そうしたら、門の前に隠だという人が居て隊服が届いていた。
「どうぞどうぞ、着てみて下さい。大きさとか見るので」
実弥お兄ちゃんは屋敷には居る筈なのにこの場には居ないから、多分部屋で寝てたりするんだと思う。
眼鏡をかけたその人に促されるまま、隊服を持って自室に向かった。
……で、着てみたんだけど。
「…………え?」
何この隊服、胸元空き過ぎじゃない? キュロットパンツ短過ぎない?
え、絶対これ普通じゃないよね。しのぶさんのとかと全然違うから、女性隊員はこういうのじゃないとダメとかもないよね。
おかしい。絶対おかしい。
胸元を押さえながら隠の人が待つ居間に向かう。
「あの、これ上大き過ぎません? 下も小さいと思うんですけど……」
「あ、全然それで大丈夫ですよ。大きさもピッタリで、」
ピシッ、と効果音が付きそうなくらい見事に、その人は言葉と動きを止めた。目線を追って振り返ると、今さっき起きてきたのであろう実弥お兄ちゃんが私の姿を茫然と見ていた。
やっぱり変だよね、これ!
「じゃ、じゃあ僕は失礼、」
「オイ待てェゲスメガネ」
何故か慌てて出ようとした隠の方の襟首を恐ろしく低い声で言いながら実弥お兄ちゃんが掴む。
「ありゃどういう事だ」
「さ、さあ、僕は作ってないので何とも」
「あんなの作る奴お前しか居ねェだろォが」
よく分からないが、実弥お兄ちゃん凄く怒っている。チラリと目を向けられて「着替えてこい」と言われたので、お言葉に甘えて元の服に着替える事にした。
私服に着替えて、また居間に戻る。手を差し出されたので、実弥お兄ちゃんに隊服を渡した。
ビリビリッ
……見事に破かれた。
「ああああ!! 折角作ったのに……」
「やっぱりテメェが作ったんじゃねェか。いいかァ、次こんなもん持ってきたらぶっ殺すぞ」
「ひぃぃいい!!」
隠の人は涙を流し号泣しながら逃げていった。
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瘉月(プロフ) - ゆずさん» 原作は悲しいこともありますが…それ以上に楽しいこともあるので、楽しみにしています! (2020年9月14日 21時) (レス) id: c566db76b6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 瘉月さん» ありがとうございます! 早く原作に入りたくてウズウズしているので、時間を見つけて更新しようと思います。 (2020年9月14日 19時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
瘉月(プロフ) - 本当に面白いです!毎回見てます。頑張ってくださいね! (2020年9月14日 17時) (レス) id: c566db76b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2020年8月8日 21時