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廿陸話 霞が生まれた日 ページ27

暑い暑い夏の日だった。

始まりの呼吸を生み出した人の子孫の双子君達。瀕死の状態のところをお館様の奥様が発見したという。


「…………え、どういう事?」


目を丸くしながら実弥お兄ちゃんに尋ねる。彼の顔は険しくって、それだけでもう殆ど理由が分かってしまったけれど。


「家に鬼が入ってきたんだとよォ。双子の兄の方が殺されて、弟の方が怒りで鬼を返り討ちにしたらしい。結局日の光で鬼は消滅したみてェだ」

「……そうなんだ…………」


以前聞いた話だと、2人は既に両親を亡くしているという。それでも兄弟で支え合いながら生きていたのに、たった1人残ったお兄ちゃんまで殺された。

弟君の想いなんて、想像するに難くない。


「あまね様が発見された時には弟の方も瀕死で、今も寝込んでるらしいぜ。もし目を覚ましても、普通に生活出来るようになるまでは時間がかかるって医者も言ってたみてェだ」

「……会いに行けるかな」

「会いに行くだけなら出来るだろーが……」


ああもう、本当にもどかしい。

何でこの世に鬼なんか居るんだろう。罪の無い人々を傷付けて、その家族まで絶望に堕として、なのに鬼は罪悪感も無くのうのうと生きている。

早く鬼を倒せるようになりたい。生きてる価値の無いあんな生き物を、滅してやりたい。


実弥お兄ちゃんが私に訓練をつけてくれる日まで、あと2ヶ月。早くその日が来て欲しい。


「……私ねぇ、鬼殺隊に入れたら、実弥お兄ちゃんとおそろいの羽織着るんだ」

「やめとけ。胡蝶みてェな女っぽいのにしろ」

「水色にしたら大丈夫」

「何が大丈夫なんだ? 1番大丈夫じゃねェのは色じゃなくて背中の文字なんだよ」


水色って可愛いでしょ? だから大丈夫、ちゃんと女の子っぽいから。

廿漆話 慈しい→←廿伍話 始まりの呼吸



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瘉月(プロフ) - ゆずさん» 原作は悲しいこともありますが…それ以上に楽しいこともあるので、楽しみにしています! (2020年9月14日 21時) (レス) id: c566db76b6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 瘉月さん» ありがとうございます! 早く原作に入りたくてウズウズしているので、時間を見つけて更新しようと思います。 (2020年9月14日 19時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
瘉月(プロフ) - 本当に面白いです!毎回見てます。頑張ってくださいね! (2020年9月14日 17時) (レス) id: c566db76b6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆず | 作成日時:2020年8月8日 21時

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