本当は逃げたくないけれど。

クラスが違うと転校してった事すら知らなかったりするよね ページ5

次の日のＨＲで、私が来週転校する事が発表された。




担任の隣に立って、悲しんでくれている友達を眺めていると、矢巾と目が合った。


今度は逸らされる事は無く、代わりに何かを言いたそうに見てくる。




担任の話が終わって私が席についた時も、その視線を感じた。








ＨＲ後、泣いている友達が席の周りに集まってくる。


部活でこれを話してもこんな風にはならないんだろうな、なんて考えて、また落ち込んでしまう。




「ちょっと良いか」




友達を宥めていると、その輪に矢巾が割り込んで来た。


頷いて、矢巾の後をついて行く。


着いたのは、階段の踊り場だった。




「何？もうすぐ１限目始まるけど」


「・・・お前、逃げんのかよ」


「・・・え？」


「転校の原因、部活だろ」


「違うって、家の事情」


「本当に？」


「うん。それに、逃げるってどういう意味？」




疑わしげだった矢巾は、一転して呆れた様な表情になる。




「昨日の部活で、お前が仕事してない事になってただろ。その誤解も解かずに別のとこ行くのか、って訊いてんの」


「え・・・」




目の奥が熱くなる。


鼻もツンとして、これダメなヤツだ、と思った時にはもう、頬を涙が伝っていた。




「お、おい」




心配そうな矢巾の声が聞こえてくる。


何も答えられずに、手を引かれるまま、屋上へ向かっていた。

味方ってたった１人でもありがたい→←思い出っていつの間にか出来てる

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