本当は逃げたくないけれど。

冗談に真面目に返されるのって辛い ページ31

心の準備をしてから体育館に戻ると、そこはもう既に大騒ぎだった。


音駒の１・２年生と海さんは、何だアレ、みたいな感じで見ているだけなのだけど、結愛ちゃんが居なくて標的を及川さんに変更したお兄ちゃんと、元から及川さん狙いだった夜久さんが、彼に一斉に何か言っている。


青城生も、それを見ているだけだった。




まあ、当然っちゃ当然だろう。


なにせ、お兄ちゃんと夜久さんは３年生。


その２人に文句を言える青城生は４人だけで、その内１人はグル、もう１人は言われている側だ。




じゃあ松川さんと花巻さんは、って事になるのだけど、生憎今は２人ともここには居なかった。


大方、結愛ちゃんと喋ってたりでもするのだろう。




「・・・A、何アレ」




呆れ顔の研磨が、お兄ちゃんを指差しながら訊いてくる。


けれど悲劇のヒロインになりたくなかった私は、曖昧に笑って返した。


一瞬研磨が目を鋭くさせた気がしたけど、気の所為だろうか。




「大丈夫かよ、アレ。他校との間のトラブルだろ、完全に」


「え、じゃあ最悪の場合、合宿中止ですか？」


「かもな」




ニヤッと笑ったトラが、「犬岡を怖がらすんじゃない」「何でそこで笑うんですか？中止嫌ですよ、俺」と、海さんに諭され、リエーフにマジレスされる。


思わず、ははは、と笑った。




暫くして、達成感のある表情をしながら、２人が帰ってくる。


まだボーッとこちらを見てくる青城を一瞥して、「練習しよ」と声をかけた。

勘が良くなりたい→←本気で驚かれると、こっちが悪いみたいな気分になってくる

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