本当は逃げたくないけれど。

半分以上宮城の学校なのに東京でやって良いんスか ページ14

バレー部員から熱烈な歓迎を受けたあの日から、早１ヶ月。


夏休みがやって来た。




ＩＨ予選も終わり、普段通りに仕事をしていると、「監督が集合って言ってる」と研磨に呼ばれた。


既に皆集まっていて、私が１番最後だった。




「揃ったな。では、夏休みの合宿についてだ」




キラッと目を輝かせる者が殆どだったけれど、研磨だけは嫌そうな顔。


すごく疲れるんだろうな、と察する。




「当初は例年通り梟谷グループで行う予定だったが、生川と森然が来られなくなったらしい。そこで急遽、烏野を呼ぶ事にした」




そう言えばお兄ちゃん達、ＧＷに戦ったって言ってたな。


なんて、呑気でいられたのはそこまでだった。




「ただ、３校では少ないからと、烏野が宮城の強豪校を誘ってくれたらしい。参加するのは、音駒、梟谷、烏野に加え、宮城の白鳥沢、青葉城西、伊達工業だ」




え・・・。


・・・皆、来るの？来ちゃうの？




冷たい目、声・・・東京に発つ前の、皆の顔が思い浮かぶ。


それからあの、ぶりっ子口調。


ツインテールで結ばれた、茶色い髪。




よっぽど青白い顔をしていたんだろう。


「どうした？」なんて訊いてくれるのに答えられなくて、曖昧に笑い返すしか無かった。




・・・会いたくない。


これ以上、失望したくない。

１つしか違わないのに子供扱いされんの腹立つ→←類は友を呼ぶって本当っぽい

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す