本当は逃げたくないけれど。

類は友を呼ぶって本当っぽい ページ13

「黒尾、入って来なさい」




月曜日。


新しいクラスの担任に言われ、教室の中へと入る。




さっと見渡せば研磨が居て、ホッとする。


１人じゃ心細いからね。




「黒尾Aです、よろしくお願いします」




ペコリを頭を下げると、パチパチと拍手される。


好奇の目で見られながら、教師が指定した席(研磨の隣)に座った。








１〜４時間目は、特にクラスメイトと接する事無く終わった。


昼休みは昼休みで、お兄ちゃんが呼びに来てくれて、部室にお邪魔して昼食を食べる。




バレー部の人達は皆優しくて、初対面の私にも他と変わらずに接してくれた。


やっぱりマネージャーやろう、と決める。


他に誰も居ないみたいだし。




「それにしてもAって、黒尾と似てないよな〜」




と、夜久さん。




同じ苗字で面倒だからと、皆私の事は最初から名前呼び。


フレンドリーだよね。




「そうですか？」


「髪色くらいじゃない？似てるの」


「そうかぁ？」




私達兄妹は首を傾げるけど、他の人はうんうんと頷いている。




「まず、黒尾と違ってAは礼儀正しい」


「え、俺と違ってって何？」


「真面目だし、優しいし、うるさくないし」


「俺泣きそう」




私自身自覚していなかった、私の性格。


まだ１日目なのにそんなに分かるのかと、少し驚く。




なんだか、及川さんと初めて会った時みたいだ。




「で、やってくれるんだろ？バレー部のマネージャー」




お兄ちゃんに改めて訊かれて、首を縦に振る。




「うん」




そう言った瞬間、歓声が上がった。




「女・・・マ・・・美・・・！」




トラなんかは、なんだか言葉になっていない声を発しながら、号泣していた。



こんなに喜んでくれるとは思わなくて、頰が緩んだ。

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