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佰捌話 入山 ページ10

気配を感じて振り返る。
刀を持った鬼殺隊の隊士であろう男の人が1人、血を流しながら這って山から出てきていた。


「大丈夫ですか!?」

「どうした!!」


竈門君と嘴平君も同じ様に反応して、座り込んだままの我妻君を放置しその人に慌てて駆け寄ろうとする。

けれど後少しで手が届くというところで、その人は何かに引っ張られる様にぐんっと上に上がった。
何が起こったのか分からなくて、目を瞠るしか出来ない。


「アアアア! 繋がっていた(・・・・・・)……俺にも!! たすけてくれえ!」


悲痛な声を残して、山へと消える。

目の前で起こった事に対する疑問と後悔とで拳を握りしめると、私は話が1番速く進む竈門君に目を向けた。


「何が起こってるのかは分からないけど、大変な状況なのは間違いない。私行くけど、皆は戻って……」
「…………俺は、行く」


竈門君の決意のこもった声に目を丸くする。彼だけでなく、嘴平君も「俺が先に行く!!」と声を上げた。
「腹が減るぜ!!」と言って、未だ座り込んでいる我妻君に「腕が鳴るだろ」と指摘されていたけれど。


「よし、分かった。じゃあ3人で行こうか。……先に言っておくけど、私は入ったら鬼が居る所に片っ端から向かう。ついて来ようとしない方が良いよ」





☁☁☁☁☁





山に入った途端分かった。間違いなく十二鬼月が居る。
そりゃ上弦ではなさそうだけれど、これで納得だ。何でこんなに隊士が倒れているのか。本当に置いてきちゃったけど大丈夫かな、竈門君と嘴平君。
……あ、竈門君の妹の鬼の見張り。まあ大丈夫か。活動してる鬼の気配が1つ増えたら、死ぬ気で走ろう。

疑問なのは、群れない筈の鬼がこの山に複数居る事。多分十二鬼月も含めて5体。
普通の鬼である4体は一般隊士でも倒せない事は無いだろうから、目指すは真っ直ぐ十二鬼月。一際気配が禍々しいから分かり易い……


「っ!?」


何も居ない筈のそこから急に殺気を感じて、咄嗟に刀を抜き攻撃を受け止めた。硬いそれは注意しないと見えない程細く、糸の様だ。

感覚を研ぎ澄ませ、敵の気配を探る。


「……お姉さん、もしかして柱?」


が、すぐにその必要は無くなった。声をかけてきたその鬼は、私の目の前に姿を現したから。
勿論目の前と言っても、日輪刀の間合いの外だけど。

私はその鬼にニッコリ笑う。


「答える必要感じないかな」

佰玖話 援軍→←佰漆話 那田蜘蛛山



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ゆず(プロフ) - りりりさん» ありがとうございます! 佳境に差し掛かっている掛け持ち作品がありペースは落ちていますが、そちらが終わり次第速くなると思います。 (2021年1月19日 18時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
りりり(プロフ) - 面白く、一気に読ませていだきました!更新がとても楽しみです。 (2021年1月19日 17時) (レス) id: bc9653ee41 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆず | 作成日時:2021年1月1日 14時

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