佰参話 交戦 ページ5
ポン、ポン、ポン、という音に合わせて、部屋が次々と変わってゆく。
間違いない、血鬼術だ。
「竈門君」
感じる鬼の気配は……4体。幸い人間と一緒に居る鬼は居ない。
鬼殺隊の隊士らしい気配が何故か我妻君の他にもう1つあるけれど、それは一先ず置いておけ。
「私こっから別行動するね。気配がある所虱潰しに行って倒してくから、2人は何とか脱出して」
「脱出? でも鬼を倒さないと……」
「近くに来たら、そりゃ倒してほしいけど。私1人でも充分倒せるから大丈夫、十二鬼月でもない鬼の3体や4体」
よろしくね! と言い残して部屋を飛び出した。
どの鬼も屋敷内を動き回っているけれど、1体だけ、特に速く動いている鬼が居る。しかも鬼殺隊じゃないであろう人間に接近中ときた。
ちょっと距離があるけれど、その鬼を真っ先に倒すしかない。
意識を脚に集中させて、呼吸を駆使して出来るだけ速くその鬼の元に向かう。その拍子に屋敷が揺れたけど、気にしてなんかいられない。
後ちょっとというところでポンと音がして、また屋敷の内部の様子が変わった。
「嘘でしょ……」
溜息混じりの声が洩れた。当然鬼との距離もまた開いている。……まあ、その分鬼と一般人の距離も離れたからいいけどさ。
もう1度気配を探り直して、鬼の所に向かう。既に1体我妻君が倒していて、1体は謎の隊士ともうすぐ鉢合わせする。だから残るは2体、その内1体は竈門君と近いからもう1体を目指す。
「居た」
今度は鼓の妨害に遭わず、ちゃんと鬼と遭遇できた。
私に気付いて攻撃しようとするその太い腕を交わし、惡鬼滅殺の文字が彫られた空色の日輪刀を抜く。
そして次の瞬間には、何が起きたか分からないという表情をする鬼の頸が地面に落ちていた。
こんな鬼、型を使うまでもない。
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ゆず(プロフ) - りりりさん» ありがとうございます! 佳境に差し掛かっている掛け持ち作品がありペースは落ちていますが、そちらが終わり次第速くなると思います。 (2021年1月19日 18時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
りりり(プロフ) - 面白く、一気に読ませていだきました!更新がとても楽しみです。 (2021年1月19日 17時) (レス) id: bc9653ee41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2021年1月1日 14時