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佰弐話 鼓屋敷 ページ4

それから竈門君は子供2人に歩み寄ると、何を思ったか背負っていた木箱を彼等の近くに置いた。


「もしもの時のためにこの箱を置いていく。何かあっても2人を守ってくれるから」


……嘘でしょ。鬼、置いてくの!? 子供達の近くに!?
私はどうするべき。お館様に言われた任務だけを守るなら多少怪しまれてもここに残るべきだけど、屋敷の中に居る鬼を倒しに行かなくていいんだろうか。

私が迷っている間にも、竈門君は踵を返して我妻君と屋敷に向かおうとする。途中で私がついて来ていない事に気付いて、不思議そうな顔をした。


「どうしたんだ? A」

「えっと…………」


……鬼を置いて離れる訳にはいかないよなぁ。


「……私、ここに残ってるよ。2人が心配だし」

「え、でも……」


箱があるから大丈夫だと言いたいんだろうか。でもそんな事言えない筈。だってそしたら、私にこの箱の中身を訊かれるかもと考えるだろう。

私の任務はこの鬼を見張る事。


「それありなの!? じゃあ俺が残る!!」

「我妻君……うん、私はそれでもいいよ」


1番最悪なのは置いていった鬼が子供達を食べてしまう事。我妻君が居ればそんな事にはならないだろう。
だってこの子割と強いし。柱程じゃないけど。


「……分かった。じゃあ俺とAで中に行こう。善逸は2人を守ってくれ」


それで丸く収まった。

屋敷に入った途端鬼の雰囲気をよりハッキリと感じて、眉根が寄る。


「そういえばAは何の呼吸を使うんだ?」

「私は空の呼吸。色んな人から呼吸を学んだ所為でどれか1つに絞れなくてね、自分で作っちゃった」

「自分で作った!? 作れるのか、呼吸の流派って自分で……」

「うん。風柱が継子にしてくれ……うん?」


人の気配が後ろからして振り返る。思わず唖然とした。


「入ってきたら駄目だ!!」


慌てた様子で3人が屋敷の中に入ってきていた。我妻君、しっかりしてくれよ……。


「お、お兄ちゃん、あの箱カリカリ音がして……」

「だっ……!! だからって置いてこられたら切ないぞ、あれは俺の命より大切なものなのに……」


ミシッ、ミシッ、と、物音が聞こえてきた。私達が立てた音じゃなく、少しだけ遠くから。

鬼のものか、それとも捕らえられている人間のものか……。


「キャアアア!!」


我妻君が叫んで身体を動かした事で、私と竈門君、女の子が押され廊下に接していた部屋に入る。

そして___部屋が変わった。

佰参話 交戦→←佰壱話 鼓の音



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ゆず(プロフ) - りりりさん» ありがとうございます! 佳境に差し掛かっている掛け持ち作品がありペースは落ちていますが、そちらが終わり次第速くなると思います。 (2021年1月19日 18時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
りりり(プロフ) - 面白く、一気に読ませていだきました!更新がとても楽しみです。 (2021年1月19日 17時) (レス) id: bc9653ee41 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆず | 作成日時:2021年1月1日 14時

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