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佰弐拾参話 おしまい ページ25

鬼舞辻無惨を倒す、だなんて癸の隊士とは思えない発言に、お館様は柔らかく笑う。


「今の炭治郎にはできないから、まず十二鬼月を1人倒そうね」

「…………はい」


……危うく吹き出すところだった。
目だけで辺りを見れば、結構皆もぷるぷる震えて笑うのを必死に堪えている。

竈門君は真っ赤だ。


「鬼殺隊の柱たちは、当然抜きん出た才能がある。血を吐くような鍛錬で自らを叩き上げて死線をくぐり、十二鬼月をも倒している。だからこそ柱は尊敬され優遇されるんだよ。炭治郎も口の利き方には気をつけるように」

「は……はい」


それから、とお館様は竈門君から目線を逸らす。


「実弥、小芭内。あまり下の子に意地悪をしないこと」

「……御意」

「御意……」


親に叱られる子供みたいな事を2人が言われていてまた笑いそうになってしまう。ここで笑ったら帰ってからの稽古が大変な事になるから我慢するけど。


「炭治郎の話はこれで終わり、下がっていいよ。そろそろ柱合会議を始めようか」

「でしたら竈門君は私の屋敷でお預かり致しましょう」


突然の言葉に、皆が一斉にしのぶさんを見た。勿論私も。
彼女はそんな皆の視線を気にせず、笑顔のままパンパンと手を叩く。


「はい、連れて行ってください!」

「前失礼しまァす!!」


そしてすぐさま、2人の隠がそう言いながら竈門君を回収していっ、


「では柱合会議を……」
「ちょっと待ってください!!」


竈門君は屋敷の柱にしがみついて、必死にその場に留まっていた。
そんな彼をこれまた必死で、隠の2人が連れて行こうとする。


「その傷だらけの人に頭突きさせてもらいたいです、絶対に! 禰豆子を刺した分だけ絶対に!!!」

「黙れ!! 黙っとけ!」

「頭突きなら隊律違反にはならないはず……」

「黙れ!! 指はがせ早く!!」

「はぶぇ!!」


突然竈門君がそう奇声を発する。彼は柱から手を離し、白石が敷き詰められた庭に倒れた。
その場を沈黙が支配する。


「お館様のお話を遮ったら、駄目だよ」


無一郎……手より先に言いなさいって、いつも言ってるのに……。
彼が、白石を指で竈門君へ飛ばしたのだ。多分3つくらい。

可哀想なくらい必死に竈門君の代わりに謝る隠に、無一郎は「早く下がって」と言う。
あんなに怯えちゃって、可哀想に……。


最後にお館様が炭治郎へ言った言葉が、不思議と心に残った。


「珠世さんによろしく」

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ゆず(プロフ) - りりりさん» ありがとうございます! 佳境に差し掛かっている掛け持ち作品がありペースは落ちていますが、そちらが終わり次第速くなると思います。 (2021年1月19日 18時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
りりり(プロフ) - 面白く、一気に読ませていだきました!更新がとても楽しみです。 (2021年1月19日 17時) (レス) id: bc9653ee41 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆず | 作成日時:2021年1月1日 14時

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