佰拾玖話 保証 ページ21
言いたい事は言った。
竈門君から目線を外してまた正面を向くと、お館様は１つ頷いてからにちか様に目を向けた。
「では、手紙を」
「はい」
にちか様は懐から手紙を取り出した。それを開きながら言う。
「こちらの手紙は、元柱である鱗滝左近次様から頂いたものです。一部抜粋して読み上げます」
鱗滝左近次……聞いた事無いな。
元柱だというし、育手の方だろうか。だとすれば、水の呼吸を竈門君に教えた人だろう。
「�燹押押加瑳Ｏ困�鬼の妹と共にあることをどうか御許しください。禰豆子は強靭な精神力で人としての理性を保っています。飢餓状態であっても人を喰わず、そのまま２年以上の歳月が経過致しました。俄には信じ難い状況ですが、紛れもない事実です。もしも禰豆子が人に襲いかかった場合は、竈門炭治郎及び＿＿＿……�瓠�
にちか様は、そこで少し間を置いた。
一呼吸置いて、続きを言う。
「�猯畋貂原畆 �冨岡義勇が、腹を切ってお詫び致します�瓠�
暫く誰も、何も言わなかった。それが何でなのかは分からない。でも私は、驚いていた。
鱗滝左近次という方の事は知らないけれど、義勇さんの事はそこそこに知っているつもりだ。
だから驚いた。義勇さんが鬼を庇う様な事するなんて、と。彼は多くの他の隊士と同じ様に、鬼に一切の慈悲も持っていなかった筈。
無表情の義勇さんを見つめていた炭治郎の見開いた目から、涙が溢れた。
「……切腹するから何だと言うのか。死にたいなら勝手に死に腐れよ。何の保証にもなりはしません」
「不死川の言う通りです！ 人を喰い殺せば取り返しがつかない！！ 殺された人は戻らない！」
竈門兄妹と義勇さんの間にどんな関係があるのかは知らない。知り合いだったのは確かだろうけれど、それ以上は分からない。推測しか出来ない。
でも、私はどんな理由だろうと義勇さんに死んでほしくない。鬼と戦ってなら兎も角鬼を庇ってなんて、そんな死を彼にしてほしくない。
「確かにそうだね。人を襲わないという保証ができない、証明ができない。ただ、人を襲うということもまた、証明ができない」
また、驚いた。
お館様は鬼だと一括りにせず、個別で見ているんだ。
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ゆず(プロフ) - りりりさん» ありがとうございます！ 佳境に差し掛かっている掛け持ち作品がありペースは落ちていますが、そちらが終わり次第速くなると思います。 (2021年1月19日 18時) (
レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
りりり(プロフ) - 面白く、一気に読ませていだきました！更新がとても楽しみです。 (2021年1月19日 17時) (レス) id: bc9653ee41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆず | 作成日時：2021年1月1日 14時
