佰拾伍話 殺伐、平穏、殺伐 ページ17
天元さんの言葉を私が否定しなかった事で、辺りにホッとした様な空気が流れた。まあ驚いている竈門君を除いて、だけど。
実弥お兄ちゃんやお館様が来てから事情を説明するつもりだったのに、もう殆ど皆分かってしまっている。別に良いけどね、嘘は吐きたくないし。
「成程! お館様に見張るよう頼まれたのなら、確かに殺されようとしているのを見過ごす事は出来ない!」
「良かった良かった。Aの罰考えるとか俺絶対無理だったぜ」
杏寿郎さんと天元さんが口々に言う。心底安心した様に2人が言うので、私は少し照れ臭くなった。大事にされてるなぁ、なんて思うけど、これは決して自惚れじゃない。
「よく考えりゃそれしか有り得ねェもんな、Aが鬼を庇うなんて」
「当たってますけど、その言い方私が冷たいみたいじゃないですか」
「実際Aは鬼に冷たいだろう」
「それを伊黒が言うのか!」
私が来た時の殺伐とした空気から一変、皆の雰囲気がいつも通りに戻った。
でもすぐに、また殺伐とした空気になる。
「妹は俺と一緒に戦えます、鬼殺隊として人を守るために戦えるんです! 他の鬼とは違う!」
竈門君がそう叫んだ事によって。
折角皆が穏やかになってくれてたのに……何でお館様がいらっしゃるまで待てないかな!
「だから、」
「オイオイ、何だか面白いことになってるなァ」
…………あ、マズイ。
「鬼を連れてた馬鹿隊員はそいつかィ。一体全体どういうつもりだァ?」
禰豆子が入っているのであろう箱を片手で雑に持った実弥お兄ちゃんは困った声を上げる隠の人を無視してそう言い、やって来た。
禰豆子はしのぶさんの管轄下だったからか、隠の2人はあわあわして謝りながら彼女にペコペコ頭を下げる。
隠の人は悪くないのに……実弥お兄ちゃん……。
「不死川さん、勝手なことをしないでください」
珍しく冷ややかな声のしのぶさんは怒っているようだった。それでも実弥お兄ちゃんは無視をして、竈門君に話す。
彼も苛立っているのがすぐに分かった。当然か、と思う。
「鬼が何だって? 坊主ゥ。鬼殺隊として人を守るために戦えるゥ? そんなことはなァ、ありえねぇんだよ馬鹿がァ!」
そして日輪刀で、禰豆子の入る木箱を刺した。
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ゆず(プロフ) - りりりさん» ありがとうございます! 佳境に差し掛かっている掛け持ち作品がありペースは落ちていますが、そちらが終わり次第速くなると思います。 (2021年1月19日 18時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
りりり(プロフ) - 面白く、一気に読ませていだきました!更新がとても楽しみです。 (2021年1月19日 17時) (レス) id: bc9653ee41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2021年1月1日 14時