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佰拾参話 言い分 ページ15

「顎を痛めていますからゆっくり飲んで、話してください。鎮痛薬が入っているため楽になります。怪我が治ったわけではないので無理してはいけませんよ」


女の人に言われた通り、水を飲むと痛みが少し和らいだ気がした。

禰豆子を殺させない為に、冨岡さんやAにこれ以上迷惑をかけない為に、口を開く。


「……俺の妹は鬼になりました。だけど人を喰ったことはないんです。今までもこれからも、人を傷つけることは絶対にしません」

「くだらない妄言を吐き散らすな。そもそも身内なら庇って当たり前、言うこと全て信用できない。俺は信用しない」

「あああ……鬼に取り憑かれているのだ。早くこの哀れな子供を殺して解き放ってあげよう」


すぐに、木の上に居る蛇を首に巻いた人と数珠を持って泣いている人がそう言ってきた。俺の言った事が殆ど理解されていないのが分かって、「聞いてください!!」と声を張り上げる。


「俺は禰豆子を治すため剣士になったんです! 禰豆子が鬼になったのは2年以上前のことで、その間禰豆子は人を喰ったりしてない!」

「話が地味にぐるぐる回ってるぞアホが。人を喰ってないこと、これからも喰わないこと。口先だけでなくド派手に証明してみせろ」


そう言われると、何も返せない。人を喰っていないことは兎も角、これからも喰わないことなんて証明の仕様がない。


「あのぉ、でも疑問があるんですけど……お館様がこのことを把握してないとは思えないです。勝手に処分しちゃっていいんでしょうか? いらっしゃるまでとりあえず待った方が……」


だから桜色の髪をした女の人がそう意見した時、ほんの少しホッとした。その言葉を聞いた他の人達が、「そう言われると……」みたいな迷った表情をしたから。

お館様という人が来るまでは取り敢えず大丈夫そうだと思ったその時、聞き覚えのある柔らかい声がした。


「……あ、良かった。竈門君がもう殺されてたらどうしようかと」


その場の人が一斉に目を向ける。水色の羽織のAは、突然自分に集まった視線に気後れする様な表情を全く見せず、寧ろ笑顔で屋敷から庭に降りて来た。

佰拾肆話 それは、誰よりも真っ直ぐな心を持ち、鬼を屠る者→←佰拾弐話 鬼殺隊柱合裁判



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ゆず(プロフ) - りりりさん» ありがとうございます! 佳境に差し掛かっている掛け持ち作品がありペースは落ちていますが、そちらが終わり次第速くなると思います。 (2021年1月19日 18時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
りりり(プロフ) - 面白く、一気に読ませていだきました!更新がとても楽しみです。 (2021年1月19日 17時) (レス) id: bc9653ee41 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆず | 作成日時:2021年1月1日 14時

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