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A「ｳﾄｳﾄ…」
タツヤ「眠い？」
A「ん…」
タツヤ「部屋に戻ろう。
明日からまた練習も始まるし、もう寝た方がいいよ。
部屋まで送る。」
A「んーん、トイレ行ってから寝る……」
タツヤ「そっか、気をつけるんだよ。」
A「うん……おやすみ」
タツヤ「ああ。おやすみ。」
タツヤと分かれてトイレに行き、部屋に戻ろうとする。
その時、前からこちらに向かって歩いてくる人が一人。
A「……」
一星「！！……。」
一星だ。
でもなんだろう、雰囲気がいつもと違う。
なんと言うか、こう……
A「何か迷ってる？」
一星「！！」
そう、迷ってるような、そんな雰囲気だった。
今日の夕方、円堂さんが一星を探しに行く、と出掛けて、結局別々で帰ってきた。
A「円堂さんに何か言われたんでしょ。あの人の言葉、すごい力持ってるし。」
一星「そんなわけあるはずがないでしょう。」
A「そう…」
一星「では、僕はもう寝るんで戻ります」
そう立ち去ろうとする一星。
見逃さなかったよ、目元に涙の跡がついてるの。
ねえ、悩んでるんでしょう？
でも、何に悩んでるの？
光くんを助ける、それだけじゃないの？
A「待って一星。」
そう言って一星の腕を掴んだ。
一星「なんですか」
A「ゴーレムや円堂さん、監督にいろいろ聞いたの」
一星「！！」
A「弟のためにサッカーしてるんだよね」
一星「……。」
A「弟のために大好きなサッカーを裏切っているんだよね」
一星「…。」
A「弟もサッカー大好きなんだよね」
一星「ﾁｯ……！関係ないだろ……！」
A「弟が今の一星を見たらどう思う？
自分たちの大好きなサッカーを貶して、
それで救われた弟はどう思う！？」
一星「ｸｯ……ほっといてくれ！！！！」
ほら、苦しそう。
ブン、と私の手を振りほどいた。
弟のために、
大好きなサッカーで弟を助けるために、
でもそのせいでサッカーを貶して
やっぱサッカー好きなんじゃん。
A「…あんた、結局なんの為にサッカーしてるの？」
そう問いかけると、彼は複雑そうな顔をして何も言わずに部屋に戻って行った。
一星「(俺はやるんだ…！光のために……！)」
ヒロト「……。」
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作者名：汐音 | 作成日時：2019年7月11日 0時
