銀ノ魂篇/世界の敵 ページ22
銀ちゃんの赤い瞳が迷う様に揺れた。
先生を救う、それは彼がずっとしたかった事の筈だから。
「それが虚であろうと先生であろうと、そこから先の事はその時考えるだけだ。何より俺らにもお前にも、迷ってる暇なんかねェはずだ」
「…………どこにある」
銀ちゃんは俯くと、低い声でお兄に問う。
「今松陽の身体は、どこにある。この船ァどこに向かってるんだ」
「江戸だよ」
当然の様に告げられたその場所に、彼は目を瞠った。
「
「どうする? 銀ちゃん」
赤い瞳が私を見る。
意地悪く笑って、首を傾げた。
「
深々とした溜息がつかれた。
☆☆☆☆☆
「ぱっつぁん、お前はどうするつもりアルか」
所代わり、江戸。
神楽は街を歩きながら、数歩前に居る新八に訊いた。沖田に言われた事を思い返す。
「虚が……生きてるって。銀ちゃんの力が必要だから手を貸せって。Aもどうせ一緒に居るんだから、って。私達だって、銀ちゃんが今どこにいるかも、本当に2人が一緒かも解らないのに」
「……そんな事するまでもないよ」
銀時が江戸から居なくなって。Aも姿を消したと聞いて。そして、虚が生きていると知って。
導き出される答えは1つで、だから彼等を捜す必要も協力を頼む必要もない。
「虚が生きてるなら、きっと銀さん達はもうとっくに、そのために動いてる。いや多分、そのために江戸を去ったんだ」
「もう1度虚を倒すために?」
「……解らない。でも多分、銀さん達も解らなかったのかもしれない」
そうじゃなきゃ、と思う。
そうじゃなきゃ銀時が、目的すら告げずに旅立つ事などあるだろうか。
そうじゃなきゃAが、置き手紙だけを残して姿を消す事などあるだろうか。
「だから1人でいった。1度は世界を滅ぼしかけたあの
___僕らなら、僕なら、どうするだろうか。
大切な人が、心から大切な人が、世界の敵になってしまったら。
それでも世界を護るために戦うだろうか。それでも世界を敵に回して信じるだろうか。
わからない。けどきっとそれでも、会いたいと思うだろう。
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なのは(プロフ) - 更新しないですか?楽しみです!(>_<) (4月23日 0時) (レス) id: d007c1ae64 (このIDを非表示/違反報告)
いな - 面白かったです!最初から一気に読みました!これからの展開が楽しみです!! (2023年2月4日 10時) (レス) id: 200a1f85db (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - 続きが気になって目が乾燥帯になってます、続きとかは、もう出ないんですか? (2022年8月9日 10時) (レス) id: c4efed8c6d (このIDを非表示/違反報告)
春 - 続きはもう出ないんですか?気になって夜しか寝れません (2022年8月8日 22時) (レス) id: 79fd85110e (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - わかさん» ありがとうございます、候補に加えさせていただきます (2021年8月31日 20時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2021年2月13日 0時