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銀ノ魂篇/おわりのあしおと ページ29

「彼等は何も終わらせられない程無能でした。しかし終わりの口火を切るには、彼等のその愚かな戦いが、君達のその無駄な戦いが、必要だったのです。だが賽がふられた今、それももう必要なくなりました」


倒れていた奈落達が、ゆっくりとまた立ち上がり始める。


「何よりこれ以上は、見るに耐えない。避けられぬ終わりを恐れ、拒み、生にしがみつく君達のあり様は……自らが死した事にも気づかずさまよう、亡者と同じ醜悪な姿ですよ」


別に私は、終わりを恐れているワケじゃない。死にたくないとは思ってない。
それでも抗うのは、死なせたくないから。

……そんな事言っても、アイツには伝わらないと思うけど。


「終わりとは美しく静謐であるべきです。この地球(ほし)の終わりに、君達はいらない」


ゴゴゴゴ、と音が聞こえてきた。心なしか地面も揺れている気がする。


「一足先にいって、待っていてもらえますか」


段々揺れが大きくなってくる。

嫌な予感が益々膨らむ。


「不思議に思わなかったんですか。幾つもの星の龍穴を破壊しこの戦争を引き起こした私が、何故地球にだけ手を出さないか。母星(こきょう)への情け? ただの気まぐれ? いいえ」


虚はわらった。


「とっておいたんですよ。君達のために」


地球から噴き出したそのアルタナは、まるで光の柱みたいに綺麗だった。

でもそれは、終わりを呼ぶ光。

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作者名:ゆず | 作成日時:2020年10月19日 19時

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