ライオン ページ43
翌日。
私と一緒の布団で寝た事をやたらアピールしている奏多とそれに半ギレの総悟と共に、動物園に来ていた。
「じゃあ、最初何見に行こうか?」
左隣からひしひしと感じるイライラオーラをいつもの如くスルーして、昨日と同じ様に右手を繋ぐ奏多に尋ねる。
「ライオン!」
「ラジャ」
百獣の王ってくらいだから奥の方なんだろうな、と進もうとすれば、左腕をグイと掴んで止められた。
勿論犯人は不機嫌な総悟クンである。
「何?」
「お前どこ行こうとしてんだよ」
「ライオン居るトコだけど」
「それあっちでさァ」
そう言って案内図を持つ彼が指差したのは、私が進もうとしていた道より1つ左の道。
「お前は猫に似てても本当の猫じゃねェんだから、そういう自分の勘あてにしねー方が良いぜ。悪い勘ばっかり当てやがって」
「ねーちゃんしっかりしてくれよ」
「ハイハイごめんなさい!」
2人して言わなくても良くないスか?
「じゃあ総悟連れてってよ。私地図読むの苦手だから」
「お前行った事ねェ場所で事件あったらどうすんでィ」
「私パトカーの運転させてもらえないし」
私が若干不貞腐れながら言えば、「……あ」と今更気付いた様な声を出す。
私が運転しようとしてもトシが止めてくるんだよ。
「じゃあ行くぜィ」
「「はーい」」
総悟は頭は空だけどそこまで馬鹿ってワケじゃない。
寺子屋に通っていれば、結構良い成績取れてたろうなと思う。
かく言う私は寺子屋で育てられた筈なのに、読み書きと簡単な計算しか幼さ故に教えてもらえなかったので、大事なところで抜けていたりするのだ。
「ほら、あっち」
総悟が言う通り、肉食動物ゾーンだなんて恐ろしいゾーンの最奥に、ライオンは居た。
その姿を見た瞬間、私の右手を離して奏多が駆け出して行く。
「すごいすごい! カッコいい!」
目を輝かせてライオンを見つめるその様子は、いつもの小生意気さが無く、素直な子供に見える。
幕府のお偉いさんのご子息というから、産まれた時から箱入りだったりしたんだろうなと思った。
もしかしたらずっと生のライオンが見たくて、今日やっと見にこれたのかもしれない。
目を和ませて見ていると、ふと隣から視線を感じた。
左を見ると、ジッと私を見ていたらしい総悟と目が合う。
「何?」
「……何でもねェ」
どーしたんだろ。
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ゆず(プロフ) - リヒトさん» すごく嬉しいです、ありがとうございます! 折角春休みなので、更新ドンドンしていこうと思います! (2020年3月16日 15時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
リヒト(プロフ) - もう好きすぎて1日で全部読んで何回も繰り返して読んでます!!笑これからも更新頑張ってください!!めっちゃ応援してます!! (2020年3月16日 15時) (レス) id: c6295103af (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - %さん» またコメントくださってありがとうございます! 受験なんかに負けず頑張ります! (2020年2月26日 15時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
% - 続編おめでとうございます!ゆずさんの紡ぐ物語は読んでいて心地良いです!カッコいいと可愛いを兼ね備える美女は正義ですね(謎理論) 更新頑張ってください!応援してます! (2020年2月26日 8時) (レス) id: 02aec80553 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - somariさん» ありがとうございます! 更新頑張ります! (2020年2月25日 16時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず x他1人 | 作成日時:2020年2月21日 17時