わたの原

謎の６年越し ページ40

「んま」


「金はお前もちな」


「自分の分は自分で払え」




店先の長椅子に３人並んで座って団子を食べる。


私と総悟がみたらし団子、奏多が餡子だ。


団子を食べて頬を緩めていたら、トントンと左腕を叩かれた。




「何？」


「それ一口ちょーだい」


「いいけど」




流石にそこまで食い意地は張っていない。


「はい、あ〜ん♡」なんてふざけてたら、広げられた奏多の口に団子が入る直前、右腕を抑えられる。




「どーしたの総悟」


「ガキ、俺の食え」




パチパチ目を瞬く私の疑問をスルーして、総悟がどこか不機嫌そうな表情で自分の団子を奏多に差し出す。


珍しい、どうしたんだろ。




「……何だ、そーゆー事？」




ニヤリと笑った奏多に、総悟が眉根を寄せる。




「悪いか」


「別に〜。じゃあありがたく貰っとくわ」




大人しく総悟の団子を受け取って食べ始めた奏多に私が首を傾げてどういう事か訊こうとすると、それより先に奏多が私を見上げて意地悪く笑った。




「ねーちゃん、意外と鈍いのな」


「はぁ？」


「にーちゃん、何年越し？」


「……６年でィ、悪いか」


「いや、悪くはないけど……長っ」


「るせェ」




プハッと吹き出した奏多に、総悟が心なしか耳を赤く染める。


かと思えば私の方に身を乗り出して奏多に手を伸ばし、その頬を結構思いきり引っ張っている。




……よく分からんけど２人が仲良くなれたようで結構です。

勘違い→←結局このコンビ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す