その太陽みたいな笑顔が1番好きな表情で、泣きたいのを我慢して作っている笑顔が1番嫌いな表情で ページ27
自分の提案に大変満足した様子のAだったが、この面子で仲良く遊ぶなんて出来る筈も無い。
「さて沖田くん」
「……何ですかィ」
「そんな嫌そうな顔しないでくんない? 俺だってお前と好き好んで話したいワケじゃねェからな」
『神楽達、休めるのって11時までなんだよね? じゃあそれまで一緒に遊ぼっか。総悟はその後ゆっくりしよ』、なんていうAの第2の案を強制的に承諾させられた俺は、仕事で来ているクセに遊ぶ気満々のバカ達の持ってきていたパラソルの影に旦那と座っていた。
副長補佐権限で1ヶ月間俺の掃除の担当場所を厠にするなんて言われちゃ、承諾しねェワケにはいかねーだろ。
清蔵さんうるせーし。
「一応確認だけどさぁ、」
引き攣った笑みで俺を見ながら、旦那が言う。
「Aと付き合ってるワケじゃねーよな? 俺知らないフリしてたけど前も2人で遊園地行ってたの知ってるからね」
「俺ァいつでも歓迎ですけどねィ。Aが色恋に興味ねーのは旦那も知ってるでしょ」
「いや、知ってるよ? 知ってるけどさ、お前みたいなドS野郎に捕まってないか気になるのが親心ってモンじゃない?」
「親じゃなくて兄貴じゃねーですかィ」
「一緒だよ」
一緒ではねェだろ。
そっと溜息をついてから、ビーチボールで遊ぶAを眺める。
Aは割と童顔だ。背も低い方だから、パッと見ただけなら実年齢よりも2つ3つ下に見える。
だけど、雰囲気とか、考え方とか、表情とか、そういうものが大人びているからか、年齢を低く間違われる事は殆ど無いのだという。
だけど、今の表情は。チャイナとはしゃぎながら顔に浮かべているその笑顔は、久し振りに年相応に見えた。
いつもの夜空に浮かぶ満月みたいな綺麗な笑顔じゃなくて、昔と同じ青空で燦然と輝いている太陽みたいな明るい笑顔。
本当にたまに、溢すんだ、アイツはそういう笑顔を。
まるで、所謂青春時代ってヤツを人を斬って過ごしているんだって事を忘れたみたいに。
その華奢な背中に背負った業とか痛みとかを、ストンと下ろしたみたいに。
2人で居られると思っていたのに邪魔が入ってとんだ災難だと思っていたけれど、Aのあんな笑顔が見れるだけで、まあ良いかと思ってしまうのだ。
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ゆず(プロフ) - リヒトさん» すごく嬉しいです、ありがとうございます! 折角春休みなので、更新ドンドンしていこうと思います! (2020年3月16日 15時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
リヒト(プロフ) - もう好きすぎて1日で全部読んで何回も繰り返して読んでます!!笑これからも更新頑張ってください!!めっちゃ応援してます!! (2020年3月16日 15時) (レス) id: c6295103af (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - %さん» またコメントくださってありがとうございます! 受験なんかに負けず頑張ります! (2020年2月26日 15時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
% - 続編おめでとうございます!ゆずさんの紡ぐ物語は読んでいて心地良いです!カッコいいと可愛いを兼ね備える美女は正義ですね(謎理論) 更新頑張ってください!応援してます! (2020年2月26日 8時) (レス) id: 02aec80553 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - somariさん» ありがとうございます! 更新頑張ります! (2020年2月25日 16時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず x他1人 | 作成日時:2020年2月21日 17時