わたの原

争奪戦 ページ26

「銀ちゃん！ 神楽も新八も。３人も遊びに来たの？」


「仕事アル！ 海の家の手伝いしてくれって頼まれたネ」


「それで、今少し早めの昼休みをもらったんです。お昼時は忙しくなるから、今の内にって」




笑顔で言葉を交わす３人の輪から少し離れた所。


旦那が固まってジッと俺を見ているのに眉をひそめる。




「何ですかィ、旦那」


「お、沖田くん……もしかして２人で来てたの？ プライベートで？」


「はい。Aが久し振りに海行きてェって言い出したんで」


「そ、そう……！！」




怒りを必死でおし殺してるみてぇな表情。


相変わらずのシスコンだ。




「A、行くぜ」




折角２人で来てんのに、邪魔されたらたまんねェ。


そう思ってまだチャイナや眼鏡と話しているAの手首を引くと、すかさずチャイナから睨みが飛んできた。




「Aの手離せ、このサドが！ Aは私と遊ぶネ。お前は１人で寂しく砂でボロ家でも作ってるヨロシ」


「何で家なんだよそこは城だろうが」


「城なんてお前みたいなガキには勿体ないネ」


「お前に言われたかねーや」




ひとしきり睨み合ってから、フンと顔を背ける。




「ま、まあまあ、２人とも。神楽ちゃん、Aさんは沖田さんと来てるんだから、ここは……」


「黙れヨ駄眼鏡。Aー、こんな男共ほっといて私と遊ぼ？ ネ？」


「そりゃ良い提案だ神楽。よし、お前ら２人で遊んで来い。沖田くんは俺とゆっくり話すか」


「嫌でさァ」


「なんだとクソガキ！！」




何で海まで来て旦那と話さにゃならねーんだ。




「あ、じゃあ」




困った様子だったAが、良い事を思い付いたと言わんばかりの表情でパンと手を打った。




「皆で遊ぶ？」




……コイツは馬鹿なんだろうか。

その太陽みたいな笑顔が１番好きな表情で、泣きたいのを我慢して作っている笑顔が１番嫌いな表情で→←季節は原作に合わせてます

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