吉原炎上篇／脆弱な光 ページ35
銀ちゃんが鳳仙の頭を木刀で叩けば、私は真剣で身体を斬る。
番傘を振ろうとした右腕を私が蹴り上げれば、銀ちゃんがよろめいた鳳仙の身体を木刀で何度も打つ。
反撃する暇を与えるな。
息さえさせるな。
もうチャンスは２度とない。
これで決めなきゃ負ける。
終わりにするんだ。
銀ちゃんの木刀が鳳仙の胸を突く。
そのまま壁に身体をぶつけさせた。
「きっ……きさ……」
鳳仙の胸を突いたままの銀ちゃんの木刀が、ミシリと嫌な音を立てる。
「貴様ァァァァァァ！！」
鳳仙が壁に埋もれた身体を起こし、銀ちゃんの頭を掴もうとした。
けれどそれが触れる直前、銀ちゃんは真上に跳び上がる。
「射てェェェェェ！！」
月詠達が投げた無数のクナイが鳳仙に降り注ぐ。
そして_________
「……やった」
動かなくなった鳳仙に、誰かがポツリと言った。
「ついに……やった」
ワアア、と歓声が上がる。
血の出た腕を押さえながら、荒い息を吐きなながら、それでも喜びの声は止まない。
「鳳仙を、あの夜王をついに倒したァ！！」
「自由だ！！ これで吉原は、私達は、自由だ！！」
ふいに、嫌な予感がした。
私の嫌な予感は、よく当たる。
ハッと鳳仙を見れば、晴れてきた土煙の中、ギラギラ光る目が見えた。
「「まだだァァァ！！」」
銀ちゃんと私が叫ぶと同時、月詠に向けて３本のクナイがとんできた。
腕に、脇腹に、脚に、刺さる。
……咄嗟に彼女を庇った、銀ちゃんの。
「銀ちゃん！！」
膝をついた彼に駆け寄れば、鳳仙が「クックックッ」と笑い声をもらす。
「貴様らの如きか細き光が幾ら集まろうと、この夜王を干からびさせることはできはせぬ！！」
土煙が完全に晴れ、クナイがいくつも身体に刺さった鳳仙の姿が露わになる。
……あれだけやっても、まだ。
「この深き夜を、照らすことなどできはせぬ！！」
ヒュ〜と、どっかの三つ編み野郎の気の抜ける口笛が聞こえる。
だけどそんなのに構っている暇じゃない。
真剣を構えて、鳳仙を見据える。
「太陽などとは程遠い……吹けば一瞬で消えるろうそくの火のような脆弱な光、それが貴様らだ！！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 97人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆず(プロフ) - ％さん» ありがとうございます！ カッコいい女の子を目指しているので、そう言っていただけて嬉しいです！ (2019年12月20日 0時) (
レス) id: e1a0e02e53 (このIDを非表示/違反報告)
％ - 続編おめでとうございます！夢主ちゃんが男前な感じがして凄くドキドキさせられてます！更新頑張ってください！応援してます！ (2019年12月19日 21時) (レス) id: 02aec80553 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆず x他1人 | 作成日時：2019年12月16日 0時
