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吉原炎上篇/笑顔 2 ページ21

番傘を咥えて月から飛び出してきた兎の像に、女達の身体から出た紅い血が一滴、二滴と付く。




「日輪様の元へいかせるなァ!! ここで何としても食い止めろォォ」


「しつこいなー」




襲いかかってきた女達の頭を握りつぶし、蹴飛ばす。




「女を殺すのは趣味じゃないんだよ。女は強い子を産むかもしれないだろ」




神威はそう言いながら、怯える女に向かって足を上げる。




「まァ、君らの子供には期待できないか。Aくらい強くないと」




踏み潰された女から、赤い液体が噴水の様に噴き出た。




「やっ、やめろォォ!」




柱から顔半分だけを出して、晴太が青い顔で声を上げる。




「お前、そんなに人を殺して何が楽しいんだ!! なんでそんなヘラヘラ人を殺せるんだよ」


「ひどいなァ、ここまで連れてきてあげたのに。それにコイツら、君の母さんを吉原(ここ)に閉じ込めてた連中だよ」


「頼んだ覚えはねぇやい!!」




神威は頰の返り血を拭う事もせず、相変わらずにこやかな顔で言う。




笑顔(コイツ)が俺の殺しの作法だ。どんな人生であれ、最後は笑顔で送ってすこやかに死なせてやらないとね」




真面なのかそうでないのか分からない理由に晴太が眉をひそめていると、神威がニヤッとした顔を晴太に向ける。




「逆に言えば、俺が笑いかけた時は殺意があるととってもいい」




ビクッとして晴太がサッと柱の陰に隠れれば、「冗談だよ」と声が飛ぶ。




「俺は子供は殺さない主義なんだ。この先強くなるかもしれないだろう」




それから神威は歩き出した。




「おいでよ。君も笑うといい」




彼の行く先には、木で出来た扉があった。


大きな閂がされている。




「お母さんに会うのに、そんなシケた顔してちゃいけないよ」




どこか、先程までの声音とは違っていた。


気の所為かもしれないと思うような、誤差程度の違い。




どこか後悔したような、何かを思い出すような声音に晴太は神威の背中を思わず真っ直ぐ見たけれど、当然彼がどんな顔をしているのかなんて分からなかった。

吉原炎上篇/今度は→←吉原炎上篇/たいようとつき



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ゆず(プロフ) - %さん» ありがとうございます! カッコいい女の子を目指しているので、そう言っていただけて嬉しいです! (2019年12月20日 0時) (レス) id: e1a0e02e53 (このIDを非表示/違反報告)
- 続編おめでとうございます!夢主ちゃんが男前な感じがして凄くドキドキさせられてます!更新頑張ってください!応援してます! (2019年12月19日 21時) (レス) id: 02aec80553 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆず x他1人 | 作成日時:2019年12月16日 0時

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