真選組動乱篇/掟は破るためにこそある ページ4
その日の夕方、5時5分過ぎ。
「遅いな、トシの奴。もうとっくに時間は過ぎてるぞ。A、どこに居るか知ってるか?」
「いや……今日は私トシと仕事一緒じゃなかったから」
「大事な会議だというのに……」
今日は月に一度、幹部格以上のみで行われる会議の日。
私と近藤さんの間はポツンと空いていて、そこに座るべき人物の遅刻を表していた。
……まさか、焼きソバパンとジャンプ買う為じゃないよね?
「いい機会だ。僕は丁度、彼のことを議題に出すつもりでいた」
伊東がそう言いながら立ち上がった。
思わず舌打ちがもれたけれど、誰にも聞こえなかったようなのでセーフ。
「最近の彼の行動については、既に諸君もきき及んでいるだろう。自ら隊士達に局中法度という厳しい規律を課しながら、彼はこれを破ること十数度。現に今も重役会議に遅刻するという失態を犯している。これを野放しにしていては、隊士達に示しがつかない」
「最近の行動だけで言うのはおかしいと思いまーす。大体あれ、本人の意思じゃなくて妖刀の、」
「Aちょっと黙ってろィ」
「何総悟」
反抗心丸出しの態度で言えば、何故か総悟に遮られた。
言っとくけど一応私のが伊東より上だかんな? 今は。
「Aの言う通りだ。先生、待ってくれ。トシのことだ。何か並々ならぬ事情があって遅れて……」
「僕は今回の件のことだけを言っているのではない。勿論、彼がこれまで真選組でどれだけの功績をあげてきたか、彼なしでは今の真選組はありえなかったことも、重々承知している。だからこそあえて苦言を呈したい。真選組の象徴ともいうべき彼が、隊士達の手本とならずにどうする。彼が法度を軽んずれば、しぜん隊士達もそれに倣う。規律を失った群狼は、烏合の衆と成り果てる」
長文ご苦労様です。
近藤さんの言葉にも聞く耳を持たない様子の伊東は、拳を握って言う。
「彼にこそ厳しい処罰が必要なのだ! 近藤さん! ここは英断を!!」
「待ってくれ! トシは必ず来……」
ガシャアッ
会議室の襖が押し倒された。
「ちゃーす!! 焼きソバパン買ってきたス!! 沖田先輩!!」
…………。
トシが総悟の顔を見て、ハッとした様な顔をする。
もしかして、総悟もグルだった? 今物凄いゲス顔してるとか?
でもまあ今は何より、
「タイミング!! トシ馬鹿!?」
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哀(プロフ) - なるほどです!ありがとうございます! (2019年12月17日 18時) (レス) id: d4e761c72f (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 哀さん» すみません! 次巻は用意をしただけで、まだ1ページも書けていないんです。でき次第すぐに公開します (2019年12月17日 16時) (レス) id: e1a0e02e53 (このIDを非表示/違反報告)
アスミ - パスワード教えて欲しいです! (2019年12月17日 15時) (レス) id: 41e9138099 (このIDを非表示/違反報告)
哀(プロフ) - はじめまして!とても面白かったです!次の作品も読んで見たいのでパスワードを教えて頂けると嬉しいです! (2019年12月16日 16時) (レス) id: d4e761c72f (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - %さん» 結構長いのに、2日で読んで下さるなんて…! とても嬉しいです。頑張ります! (2019年12月15日 22時) (レス) id: e1a0e02e53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず x他1人 | 作成日時:2019年11月29日 17時