エチュード(JUMP×JUMP短編集)

雨も、晴れも(yb×hk)Twitter掲載分 ページ46

※「止まない気持ち」のyb side


俺は雨の日が嫌いだった。
雨の日はサッカーの練習ができないからつまらない。

それに、雨の日はあいつに練習を見てもらえないから…


光がサッカー部の練習を見ていることに気づいたのは、いつだろう。

ふと教室のほうを見ると、いつもこちらを見ている光がいたんだ。



クラスメイトの光とは、そこまで仲がいいわけではなかった。

大ちゃんや伊野尾とはよく喋っていたけれど、物静かなやつだった。

たまに喋る一言は天然で、ノートの片隅の落書きは異様に上手くて。
なんか気になる存在だけど、友達とまではいかないクラスメイト…そのくらいだったんだ。



サッカー部の誰を見ているんだろう。

それが俺だったらいいな…

ふと浮かんだその感情や、いいところを見せたいと張り切る自分に戸惑った。




筋トレとミーティングだけ済ませて解散したサッカー部。
ふとグラウンドを見ると、昨日誰かが片付け忘れたのかサッカーボールが水溜まりに浮いていた。

ぷかぷか、ゆらゆら。
激しい雨に、あっちへ行ったり、こっちへ来たり。

俺の気持ちも、ゆら、ゆら。
光のことが好きなのか？

いや、まさか。



あのままだとボールが使えなくなっちまう…俺は今日は行く予定のなかった部室へと足を進めた。



部室の靴箱からタオルを取り出した。
ボールを水溜まりから拾い上げて、キュ、キュ、とボールを磨く。


泥にまみれたボールが少しずつ白さを取り戻していく。




…この気持ちがなんなのかわからなくても、いいかもしれない。大切にしていれば、そのうち答えは見えてくる。




綺麗になったボールを片付けて教室の方に目を向けると、光がこちらを見ていた。

遠くてもわかる、あれは光だ。



もしかして、…

淡い期待ににやける顔を傘で隠して、俺は校舎へと向かう。




俺は、雨が嫌い�爐世辰伸瓠�

でも、1ヶ月前。俺はこの気持ちを知りたくて、少しの勇気を言葉にしたんだ。


光がいる教室のドアを開ける。

「光、いる？雨で部活が早く終わったんだ。
また一緒に課題やろうぜ」


雨の日は、不確かな俺の気持ちを大切にしてあげられる日だから。



いつかきっと答えが出るその日には、
雲の隙間からヒカリが差し込むだろう。



雨の日でも、晴れの日でも、…

できることなら光の目に俺が映っていますように。



雨も、晴れも＊fin

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