お仕え ２ ページ9
群衆をかき分けて
自分が感じる先にその子を見つけた。
目の前の毛布に巻かれた赤子は
目を瞑ったまま、静かに寝息を立てている
村の衆の顔には喜色の顔を浮かべていたが
Aは少しだけ眉をひそめる
『···おかあさん、
少しその子を見せて』
母親であろう若い女性は
額に汗を浮かべながらも
微笑んで胸に抱いている子を誇らしそうに少女に見せる
この赤子の纏う雰囲気からは
微かな死気を放っていた
何か不吉な事が起こりそうな予感をするAは、女性を驚かさないように
微笑みながら
『私も、抱っこしていい？』
と聞く。
この子にも
自分の
血を少しだけ飲ませないと。
これから起こる事はさすがの妖精でも予知が出来ない
ただ少しでもこの貴い命を延ばしたかった。
女性は躊躇ったが、
「いいわ」
と子供を渡す
寝ている赤子は目を開けて、身を捩って泣き出そうとしたが、不思議な事に
微かな笑みを浮かべたように皆から見えたのである。
『────あなたには
無事でいてもらいたいね
健やかに育ちますように祈ります』
少女は赤子をやんわりと抱き締めて
互いの額をゆっくりと合わせる
耳元の羽の飾りの一部が
細い針と化して、
自分の首の付け根に突き刺される
髪の毛が長いため周囲の人からは何が起こったのかわからない
真紅な血液が次第に潔白な肌からにじみ出る
少女は指を傷口に付けて
赤子の唇にそっと塗った。
自分の血液には
不思議な力があるから
難病は直ちに治るのだ。
『元気でね』
その子を女性に還すと
Aは自分の首元を片手で隠すように
静かに群衆から去っていった。
「···なんだったのかしら、あの子は」
女性は、
その少女はただの人間ではないと勘付いていた。
ふと、あの伝え話を思い出したのである
「────まさか、！」
はっ、と気付いた時には
少女の姿はどこにも居なくなっていた。
替わりに赤子の規律の良い呼吸と薄紅色に浮かぶ頬がさっきよりもずいぶん違うように感じた
。
女性は心の底で感謝の言葉を呟き、
愛しい我が子を大切に抱き締めたのであった。
───────────────
『リリアちゃん、マレウス、ただいま！』
髪の毛に木葉を引っ掛けて
ボサボサになりながら、
Aは窓の外から入って来たのを
リリアは笑う
「どうやって来たのじゃ」
『城の外から登ってきたのよ』
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リン - リリアちゃんカワイイ❤️続きが楽しみです (2022年11月24日 22時) (
レス) id: c3aa6be969 (このIDを非表示/違反報告)
晏昊 - はちゃめちゃドタイプ過ぎて……五回ぐらい見てしまった😅続きがめっちゃ気になるｯ!!!楽しみにしてます!!! (2022年9月20日 0時) (レス) id: 92be24dccc (このIDを非表示/違反報告)
敦 - え？好きです！続きが楽しみです！！頑張ってください！ (2021年7月27日 22時) (レス) id: b6ccf69655 (このIDを非表示/違反報告)
双葉 - リリアちゃんとの絡み大好きです！ (2021年6月19日 15時) (レス) id: 159c5aae09 (このIDを非表示/違反報告)
双葉 - 続きが楽しみです。気長に待ってます (2021年6月11日 21時) (レス) id: 159c5aae09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寝巻き | 作成日時：2021年3月5日 19時
